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* コラム [毒含流行論]
2013年4月号掲載
森のくまさん 米騒動は本物か

 昨年度産米の「食味ランキング」で県産米「森のくまさん」が高得点で特Aを獲得、一躍全国のごはん愛好家から注目を浴びた。

 食味ランキングは日本穀物検定協会が毎年行っている米の食味をランキング付けするもので、全国のJA農業協同組合や、県などから寄せられた産地米を検定するらしい。100を超える銘柄米がエントリー、穀検協会の職員20名が食べて香りや味などを検定する(以上各メディアの情報から)。

 酒を飲まない筆者は食物、特に米と果物には一種の拘わりを持つ。10数年前、今回同様城北産の「ヒノヒカリ」がやはり上位入りしてメディアが騒いだ。丁度その時用件で菊池市に赴いたので回り道をして「七城産米」を七城農協で10キロ求めた。だがその米は何の変哲もない安っぽい味であった。後で農協関係者に話すと「美味しい米は菊池の山間部だけだよ、農協の米は平地の米だから美味い事はない」と笑われた。その後も北海道産米319が特選に入ると注文したが食えた味ではなかった。新潟の魚沼産、それも南魚沼産が美味と聞けば注文した。確かに見た目は美しかったが味、香りはいまいちですぐ止めた。新潟の大潟村の湧井なる農家が政府の作付面積制限に反対して直接販売しているニュースを見て注文した。ここの産米は先ず先ずであったが、やがて組合が出来てから味が落ちたのでやめた。今は「丹後コシヒカリ」を生産農家から直接買っている。味、香り、粘りは上々だ。以上の経験から今回の森のくまさん騒動に一抹の不安を感じたのでこれを書いている。

 筆者が「一応味見に」と買いかかった所、熊本の米に詳しい人物から「やめときなさいよ」と云って、かつて筆者が経験した七城米騒動と一緒だと云う。「品評会に出している米は特別に選ばれています。市販の米とは違います」と断言した。「森のくまさん」は県産米の11%程度の生産で、ニュースで知った全国の人から注文が入って売切れ状態が続いていると各メディアが報じていた。若し筆者の経験通りであれば熊本県産米の評価が落ちるのではないか。JAや販売農家は自信のない米を売らない勇気があるのか。これを幸いと売りまくれば必ず反動がくると思うが。
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