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* コラム [毒含流行論]
2011年7月号掲載
東日本大震災 何故信じた津波予報

 最近の新聞、テレビニュースは専ら原発報道一色だが、東日本大震災直後のニュースでは津波予報を非難する報道が目立った。住民(被災者)の声として「地震直後の津波警報は3mで、その後6mに上がったが不安はなかった」「6mと聞いたが前のチリ津波の時も問題なかったので避難は考えなかった」等々である。気象庁関係者も「あれだけの津波は予想できなかった」と恰も予報出来なかった責任を痛感した姿勢で語っていた。確かに気象庁や、政府地震調査研究本部は、被害を最小限に抑える為にも正確な予測、予想は必要である。が、大自然相手の仕事に完璧を望むのは無理があるし、出来もしない。因に30年以内に発生が予想されていた震度6以上の大地震は東海地方で30数%、東北はゼロであったと聴く。即ち、現在の科学水準で大地震を予知するのは不可能という事だ。その事が判った為、米国始め西欧諸国は地震予知の研究から手を引いたという。ここからが本題。筆者は「官庁発表を信じない。気象庁発表は参考にする」と常々思っている。

 3月11日の地震発生時、筆者は第一報をカーラジオで聴いた。当初「津波にご注意下さい」のアナウンスが「大津波に注意して下さい」に変った。震度の事は、はっきり覚えていないが、相当な大地震と判断した。数分後に着いた事務所では職員がテレビを視ていて「6mの大津波と云っていますよ」と云う。筆者は「どうせいつもの様に高めに云っとっとだろう」とか云って用件を済ませた。筆者の記憶にある限り、これまでの津波予報で予報を上回った津波はなかった。被災者の中にも筆者と同じ思いを抱いた人は多かったと思う。特に防波堤が完備(今回は用をなさなかったが)した地域の人に強かったのではないか。しかし、今回は地震の規模が違っていた。その揺れから「これまでと違う地震だ、津波も大きいだろう」とは思わなかったのか。「6m程度の津波」の警報を信じた人程津波に呑み込まれたのではないか。正しい状況判断力は日頃の心懸けで培われると思っている。書を読み知を高め、災害時には自己判断、自己責任で行動する事が大切ではないか。2万人余の死者不明者を思う反省の弁である。
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