熊本県民新聞 WEB版
本紙の信条

トップページ
購読のお申込み
秘密厳守します!情報をお寄せ下さい。
コラム
バックナンバー
お問い合わせ

    ■ 発 行 所 ■

 〒860-0844
     熊本市水道町1-27

 発行者:  福 島   宏

  電話: (096)354-8439
  FAX:  (096)354-8440
 
コラム [毒含流行論]
 

3・4月号掲載 : 元少年に死刑判決 死から逃れた免田栄


山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審で、広島高裁は4月22日元少年(犯行当時18歳)に死刑判決を云い渡した。

この判決についてメディア各社は賛否両論の嵐が吹き荒れたが、筆者が感じた流れは大半が容認した論調で報じたようである。通常殺人事件は3人以上殺して死刑、以下では無期懲役が定着していたと思う。

その点から見れば今回の光母子事件は被害者は2人、1人は赤子であった上、事件当時犯人が18歳の少年であった事も考慮すれば無期でも不自然ではなかった。

この裁判の進行自体は異常と云えるもので、少年は一、二審で犯行を認めていたにも拘わらず、大弁護団の意向もあってか差し戻し審では一転殺意を否認、精神的な欠陥があるか の如き発言を行った。

この元少年の発言と、21人からなる"人権派弁護士"の死刑回避作戦と思われる法廷闘争は世間の反感を買い、現大阪府知事橋下弁護士のテレビ発言ではブログ炎上現象まで起きている。

筆者は判決を下した楢崎裁判長の正義を信じたい。母を殺して死後レイプをした上、11カ月の赤子を残虐な手段で殺した。

殺人の人数より残虐性を重く見た判決と理解出来る。大弁護団の作戦は思いとは逆に作用した様で、裁判官は「生きようとするあまり虚偽の陳述をして反省の姿勢もない」と一蹴している。

被害者の夫である本村氏の手記(WILL6月号)で初めて知らされた事実の数々を思うと「よくぞ死刑にしくれた」との思いが湧く。

死刑制度について賛否両論があるのは充分承知しているし、夫々の云い分も理解出来るが、殺人を犯した以上自己の死をもって償うのが当然、と云えば極論か。

日本で初の死刑囚から再審無罪を勝ち取った免田栄(82)など「限りなく黒に近い灰色」であったが、当時の鑑識能力の低さと自供重点主義が禍して、疑しきは罰せず (被告の利益に)で釈放されただけではないか。

無罪判決があったその日、筆者の知人が免田町に居たが、「免田町民の誰もが無罪など信じていないようだった」と語 ったのを覚えている。死から逃れたとしても真実は免田自身が一番よく知っている筈。死者を「追悼」密やかに生きてゆくべきではなかったか。
 
最新コラム | 過去のコラム一覧