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コラム [毒含流行論]
 

9月号掲載 : クールビズとモッタイナイ


地球温暖化防止を謳って今年の夏は小泉首相以下官公庁の職員、大手企業の社員などノーネクタイの就業者が増加、室内の温度を一度下げる事による節約効果を各メディアが競って報道した。それに前後して流行したのが「モッタイナイ」である。

昨年ノーベル平和賞を授与されたケニヤの環境問題に取り組んでいるワンガリーマータイさんが来日した折「モッタイナイ」の日本語を連発した事から一躍モッタイナイブームが巻き起こった。だが一寸待ってほしい。

筆者は昭和二けた生まれであるがこの年代の前は勿論だが、戦後三十年頃までに生まれた人達の多くは、とっくに「勿体無い」(これが正しい漢字表現で、モッタイナイはメディア関係者がマータイさんに媚びた?表現である)は実践している事柄である。

クールビズなる横文字を使わずとも夏の軽装で充分である。暑がり屋の筆者など、例年六月末頃から九月初旬まで半袖シャツや、ポロシャツで通している。特に盆地特有の蒸し暑さがある熊本では軽装は合理性に適していると思う。勿体無いは日常茶飯事に感じている事で「何を今更」の感を抱かせる。

四十ババアに手の届いた吾娘が小学生の頃、知り合いの食堂に一緒に行った事がある。食べ終わった時、お茶を持って来てくれたおかみさんが娘のご飯茶碗を見て「わあーすごい」と云ったので「何が」と聴くと「お嬢さんはご飯粒を一つも残していない、わあ、すごい」と褒められた事がある。吾家では子供が小さい頃から茶碗にご飯粒を残さない様に躾ていただけの事だが、まさかおかみさんに褒められるとは思ってもいなかったのである。

一粒の米と雖も、農家で作られた稲が精米され、運ばれ、販売されて吾家で炊き上がった物である。縁あって吾家の者達の茶碗まで辿りついた米粒を茶碗につけたまま食事を終えるのは勿体無いと、私の気持が許さないのである。

世の中が豊かになり、金さえ出せば何でも買える昨今の若者たちは、物の有難さを教えられないまま成長した。一寸不味いと食べ残しても何も感じない。

ケニヤを始め、周辺の貧しい国々ではご馳走となるコンビニの弁当も、時間が経てば捨てられるこの国、何処かが狂っている。

 
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