今春文部科学省は来春から使用される中学校教科書の検定結果を公表した。
発表は4月5日、6日の各メディアは夫々の社風?を表わす見出しでこれを報じた。
今回の柱は、世界的に見て落ちた学力の回復を図る目的で、前回のゆとり教育を踏まえた教科書に比べて増ページが目立った。
そして例の如く「新しい歴史教科書をつくる会」が編纂した歴史と公民の教科書に対して一斉に批判が集中した。
中でも面白かった(と云っては失礼か)のが朝日新聞の見出しである。
「教科書検定」の下に大文字で「中学にも『発展的内容』」とここまでは他紙並みだ。その横に「『つくる会』再び合格」ときた。受け取り様では合格が難しかった検定を「よくパスしたなぁ」の思い遣りととれない事もない。
本音は「あんな歴史教科書を文科省が通す筈がない、通してはならない教科書が又も合格した」といった所だろう。
十面全頁を使って「つくる会」の教科書を"検証"しているが、当然朝日の意向に沿った意見を持つ天野早大教授、横田流通経済大教授の話として二枠に顔写真入りで載せ、同書の執筆陣から藤岡拓殖大教授、八木高崎経済大助教授の二人の談話(と思われる)を一枠に分割して掲載している。
同面の中で朝日が悔しがっているらしい見出し「『歴史』消える加害記述」「『強制連行』2社に減少」と嘆いてみせる。
今回大きく変ったのは、つくる会が社会科の公民教科書申告の中で「韓国とわが国で領有権をめぐって対立している竹島」と記述されていたのを検定では「領有権で誤解される恐れがある」として「わが国固有の領土で、韓国が不法に占拠している」と政府の意向が反映された事である。
当然中国が主張している尖閣諸島もわが領土として記述され、やっとまともな教科書に近付いたという印象が強い。
前回同様未公開の筈の「申請本」のコピーが事前に韓国、中国に出回ったのも一日本人として悲しむべき事柄である。
日本の教科書を批判し潰そうとする韓国、中国の教科書はどうか。「国定教科書」の為、国民が自由に意見を云うなど、夢の又夢である。
その国が他国の教科書に嘴を入れてくるとは烏滸がましさもここに極まれりである。
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