熊本県民新聞 WEB版
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熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

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複数職員運賃ネコババの疑い

 毎年赤字をたれ流し、一般会計から10億円以上注ぎ込んでいる熊本市交通局のバス部門で多額の"運賃横領"疑惑が浮上した。平成16年に発生した「運賃不足」以降小紙が内部協力者を得た結果知り得た事件である。尚、情報源の特定を防ぐ為写真等の日付け、その他省略した個所がある事をお断りしておく。

 熊本市は幸山市長が誕生以降職員の志気の低下が著しい点は各メディアの報道により多くの市民が熟知している通りである。原因の一つは、幸山市長の唯我独尊にあると有識者の間でも語られている。政策一つをとっても木を見て森を見る目がなく、庁内に於ても幹部職員からの信望が薄い。まして下水道部や、交通局など外部(本庁に対して)事業所は管理者に任せっ切りである。その管理者も定年前の一時的腰掛としか理解していないのか、仕事は次長に任せ自分のやりたい事をして一日を過すといった状態である。こうした職場にいい人材が育つ筈もなく、下水道部職員の収賄事件が表面化した。小紙の報道から一年後であった。

 そして又ここに交通局の不祥事を採り上げる事になった。左の写真で収集機のボックスから溢れ出ている整理券、小銭、奥の方の千円札等は、某月某日朝の撮影である。このボックスには写真下右側の通称「コンテナー」と呼ばれる金庫が開口状態で収められているが、この場面では収集口が閉められていた為、コンテナーに入らなかった現金等が収集機のドアを開けた時に溢れ出た場面である。

  こうした場面を何度か目撃する事はあったが、証拠として写真に撮るまでには至らなかった職員だが、小紙に提供しようと常時携帯電話を所持していた為に撮影出来た貴重な映像である。この時は幸運にも担当者(後述)が慌てて箒と塵取を取りに行く為現場を離れたチャンスを逃さずに撮ったもので、担当者は写真を撮られた事には気付いていない(気付いたら撮影者の懐柔工作にかかっていたと思われる)。因にこの翌朝にも同様の事が起きており「誤って蓋を閉じたまま入れた」では済むまい。

 熊本市営バス(正確には熊本市交通局自動車課)大江の交通局内、本山車庫、小峯営 業所、上熊本営業所があるが、乗車運賃を回収するのは本山(元は営業所)、小峯、 上熊本の三拠点である。金銭管理をしているのは所長、副所長、監督長、監督の4 人だが、普段は監督長と監督が収集機の鍵を管理している。バス運賃1日の売上げ はバスの終点で運転者が料金ボックス(後述)から取りはずし、建物内も設置されて いる収集機にボックスを逆さまにして差し込む。ボックスに電源が入るとボックス の蓋が開き、現金と整理券が落下、下に置かれている先述したコンテナーに入る仕 組みになっている。空になったボックスを引き出すと自動的に蓋が閉っており、運 転者はボックス置き棚に収めて、一連の作業は終る。



売上金保管制度に欠陥
-疑惑グループ数組存在か-

 売上げ金は収集機内のコンテナーに収容されたまま、同機内で一夜を過す。翌朝運搬契約を結んでいる日通の輸送車が来る前に収集機から出されたコンテナーは「一旦金庫室」に納められ、日通現金輸送車に積み込まれ熊本市二本木の肥後銀行事務センターに運ばれる。ここで蓋が開けられて計算され、集計結果が交通局に報告される仕組みになっている。従って不正が行われるとしたら売り上げ金収集機が開けられ日通に渡される間ではないかと見られている。

  職員の一部で語れているのはコンテナーへの細工である。写真で見る通り、蓋の一部にクリップのついているのが分る筈だ。このクリップは、日通がコンテナーを回収し、肥後銀行事務センターに渡した後、前日渡した空コンテナーを回収。翌朝、前述した様に市バスの営業所に回収に行った際、当日分として返却するシステムになっている。輸送の際、車の震動で蓋が閉る事があり、それを防ぐ為、クリップを付けられていたと云われる。収集機に設置する時は、このクリップをはずしカーボネイト部分の窓を一杯下げてロックがかかった状態で入れる。「運賃箱から収められた現金などは、翌朝収集機からコンテナーを引き出す際ロックが解けて蓋がきっちり閉じた状態となり、以後は肥後銀行事務センター以外で開ける事は出来ない」(某職員談)。だが知恵者は居るもので、クリップをはずした後ガムテープで中開きのまま収集機に入れ、翌朝半開きの窓から金を抜き取り蓋を密閉する手口である。



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