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* コラム [毒含流行論]
2018年232号掲載
白蓮・龍介 思想と宗教
互いの意志を尊重か

 支那革命に孫文と共に闘った宮崎滔天の長男が龍介である。父滔天(寅蔵)は大江義塾に学んで東京高師に進み、その後早稲田専門学校に学ぶ。恩師の小崎弘道教授から洗礼を受けクリスチャンになる。しかし、自分の思想とキリスト教の教義が異なると自覚、キリスト教から離れる。同じ様に龍介も東大在学中に受洗、キリスト教徒となった。燁子と熱愛の末結婚した2人だが、社会主義運動は軌を壱にしたが、燁子をキリスト教に誘った様子はない。ある意味、思想宗教は互いの意志を尊重し合っていたのではないかと推察出来る。又、龍介は受洗したものの社会主義者としての思想と相容れない教義もあってキリスト教から脱していた事も考えられる。龍介の葬儀が東京港区の長谷寺で執り行われ、その後先述の石老山顕鏡寺に葬られた事からも明らかである。

 ここで燁子が出た後の「赤銅御殿」について述べよう。

 同御殿は、伝右衛門が燁子の為に建てたものの、そこで龍介との恋が生まれて出奔したので燁子が住んだのは僅かに5年である。

 大正3年春に起工、同5年1月に落成とされる。大正10年燁子が出奔した後伝右衛門が交流を持つ知名人などの接待などに使っていたが、太平洋戦争が開戦した翌昭和17年に海軍省に寄付した。終戦後は占領軍が接収、高級将校用の宿舎となった。

 日本独立後、大分県下で手広くパチンコ店を経営していた首藤某が購入、手を加えて昭和29年に「ホテル赤道御殿」として開業した。しかし昭和40年代になると市内に大型ホテルが開業、特に今の「杉の井ホテル」の開業で経営不振となり売りに出された。

 「柳原白蓮と赤銅御殿」という由来もあって当初別府市に話が持ち込まれたが、当時の金額5億円は市の財政から手が出せない金額であった。結局大阪枚方市の不動産業者が買い取り建物は解体され、49区画の分譲地として売りに出された。土地の一部が市に寄贈され、小さな公園になった。邸内に建てられていた歌碑「わたつ海の沖に火もゆる火の国に我あり誰たそや思はれ人は」も同公園内に移されて現存する。

 かつて華やかな文人らの交流の場であった赤銅御殿はこうして忘れられていった。
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