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発行者:福島 宏

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* コラム [毒含流行論]
2015年12月号掲載
馴合い招く 記者クラブ制度

 読者の皆さんも「記者クラブ」という言葉を聞いた事があると思う。「記者クラブ」とは、原則的に日本新聞協会に加盟している新聞社、テレビ局、通信社などで組織されている“業界団体”である。東京では政治の中心である国会を始め、各省庁、政党担当の記者クラブが存在する。熊本県に於いては県政、県警、熊本市政記者クラブが存在する。

 記者クラブは県庁、県警本部、熊本市役所内に一室を占めており、光熱、通信費は役所持ちである。熊本市役所に限って云えば、前述の利益供与の他、女性職員(嘱託)が一名配されている。これらの費用は「年間で概算1100万円前後」と云われる。この費用は市民の税金から支払われるのである。他に年間数回、市長、副市長ら幹部と懇親会名目で飲み会があるが、これらの費用も役所持ちである。

 かつては、市長が“海外視察”に出掛ける際同行する社(新聞、テレビ局から各1、2社が順番で参加)に対して諸費が市から支給されていた。が、この問題を小紙が指摘した為、以降はこの費用負担はなくなった(因に県はまだこの制度が残っていると聞くが未確認)。

 こうしたメディアと行政の関係に加え、県と市の「広報費」という美味しい果実が目の前にぶら下がっている。公正な視点から批判を行えと云っても出来る筈はないのである。役所の広報発表を垂れ流す“発表依存”体質になり下がったのである。世の識者はこれを「行政とメディアの癒着」と評しているのである。熊日を例に挙げて申し訳がないが、熊本で影響力が一番強い位置にあるので御容赦願いたい。

 大西市長から三代前の田尻市長時代、女性問題と市庁舎建設を巡る談合疑惑が生じた。この時、熊日の市政記者は、大阪に出張した田尻市長を尾行、大阪の夜の街に繰り出した田尻市長と“女帝”と云われていた女性のツーショット写真を撮り、ホテルの同室に入ったのを確認した。帰熊後、パソコンに入力し、いつでも記事に出来る準備を整え、デスクも了承していたが、突然記事は没になり、本人は郡部の支局に配転となった。この頃、県警幹部らがウィークデーにゴルフを楽しんでいるのをスクープしたのも熊日であった。以後調査報道は消えた。
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