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* コラム [毒含流行論]
2015年4・5月合併号掲載
グロテスク好み
日本人の精神構造劣化か

 ずい分旧聞になるが、テレビのバラエティ番組で一言。昨年12月1日、その時に話題になった「2014ユーキャン新語・流行語大賞」の発表があった。トップテンの中から「年間大賞」に選ばれたのは「集団的自衛権」と「ダメよ~ダメダメ」2題であった。集団的自衛権は常識人が選んだのであろう。あと一つ「ダメよ~」については筆者は初めて目にした。確か発表日当夜のテレビニュースであったろうと思う。お笑いコンビ「日本エレキテル連合」の「小平市の細貝さん」「未亡人の朱美ちゃん」と呼ばれる2人が演じている中で出てくる言葉が「ダメよ~ダメダメ」らしい。2人の映像を見た筆者は即チャンネルを変えた。下卑た姿を見続ける神経は筆者にはなかった。この2人がお茶の間で人気を得ていたから流行語大賞に選ばれたのであろう。どんな神経の持主がこれらの番組を視聴しているのであろうか。

 かつて評論家の大宅壮一氏がテレビの普及について「1億総白痴化」と評したのは有名だが、その言葉通りに日本人の白痴化が進んで来たのであろうか。テレビの映像を作る側は視聴率至上主義であろう。出演している人物を「バカ」と思いつつも、視聴率が一定の水準にある限り使い続けるのだ。出演する側も「楽をして売り出したい」一心から、人目を惹く様な奇妙きてれつな名前を付ける。能力も芸もないこうした連中が何かの切っ掛けでブレークする(ブレークさせるのは阿呆な視聴者)。そして1~2年で消えていく。

 かつて「ツブヤキシロー」なる一寸知的障害があると思われる男がよくテレビのお笑いに出ていたが間もなく消えた。今お茶の間の人気者は「マツコデラックス」なる異形の男(女?)の様だ。日本エレキテル連合並のグロテスクである。局側が「見せ物」として出演させている訳でもないと思うが、出る方も出る方、見る方も見る方である。視聴しているのは一部の国民と思うが、寂しい限りである。かつての噺家は誰を聞いても笑えた。長年師匠について辛苦を経て身に付けた芸が人を笑いに誘うのである。言葉や、仕草だけで笑いをとろうとする昨今の連中と格の違いを見る。幸い日本エレは大賞後、何故か出演が減った様だ。
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