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* コラム [毒含流行論]
2013年10月号掲載
水俣病患者認定 いい目を見る事か

 水俣病患者希望者、おっと間違えた"認定希望者"であった。いつ終わるとも分からない"治療目当て"の患者が増加している。

 普通、患者=病人は弱々しさが見てとれるが、水俣病と自称 (認定前だから) する人達は強い。遡れば初代患者会の川本会長だか、代表は県庁に押し掛けた際お偉方の机に飛び乗って胡座をかいた (この時の気持は分る)。中を飛ばして今年8月6日、NHKの20時50分頃のローカルニュースで、県職員に掴み掛かっている女性の元気な姿が映像で流れた。このニュースの中で 「重症患者からボーダーライン層まで救済するのは難しい」。「重症は分かるが軽症は線引きが難しい」 と係官は必死の弁解。これに対して認定希望者らは 「現在の認定基準を見直せ」 と詰め寄っていた。続いて井形なる医師が水俣病を診断している姿が映った。細い竹の2本針で認定希望者の指をつついているのが見えて画面は切り替った (と記憶している)。

 通常の病気の診断はCT、血液検査、レントゲンなどで行うが、難病と云われる水俣病は、こうした竹の針や、筆が必要なのであろう。国や県が定めている基準という難関を、裁判という"武器"で打ち破った人の言が又面白い。水俣病認定義務付け訴訟で、最高裁は本年4月16日故人の女性を水俣病と認める判決を行った。この判決を受け、同4月22日RKK熊本放送は、認定された女性の長男である81歳の男性にインタビューした映像を放映した。18時16分頃である。中で男性は 「私だけがいい目にあったようで皆さんに申し訳ない気持です」 といった意味の発言をしていた。筆者が 「おや」と思ったのは「私だけがいい目にあって…」 である。水俣病という病気だったと母が認定される事が「いい目」であるのか。じゃあ現在認定申請している人達が認定されたら、皆さん「いい目」を見る事になるのか。同5月3日付熊日。別の原告長女が、母から継承していて県が控訴を取り下げる方針を表明した事で 「『母の仏前にいい報告ができる』と声を詰まらせた」と報道。見出しも白抜きで大きく 「仏前にいい報告」 と打っている。

 水俣病の原点は、明治40年に日本窒素が水俣村に作ったカーバイド工場に発するが、これは別に書く。
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