熊本県民新聞 WEB版
本紙の信条

トップページ
コラム
バックナンバー


■ 発 行 所 ■
〒861-8034
熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
FAX:096-234-9883


*
 熊本市東区の社会福祉法人「敬人会」(旧星峰会)理事長の独断専行による待遇悪化で入居者と対立が激化している。理事長の坂本純氏は、元理事長らの不祥事で熊本市が改善命令を出したのに伴い、前理事長が招聘する形で敬人会理事長に就任した。所が業務改善、法人の正常化を急いだ為、元役員や職員、入居者と軋轢が生じる様になった。坂本理事長が解雇権を乱発する為元幹部らは労組を結成、泥沼の闘いが続いている。

 社会福祉法人敬人会(以降敬人会)は後述している様に東三起夫氏が平成15年4月に社会福祉法人星峰会を設立、ケアハウス「わらべ苑」を開設した。この法人認可に動いたのが落水清弘市議で、東氏から多額の“献金”を受けた(東氏から直接聞いた)のである。以後2人の“腐れ縁”が続く事になる。創立者の東三起夫氏は中々の策士で、施設の土地、運営資金の殆どを梅田洋一氏に寄付名義で提供させている。

 その後保育園「わらべ園」の開設に当たっても東氏の身内の田内新一氏(小紙で既報の桜ヶ丘保育園々長に就任)が資金提供を予定していたが、その金が桜ヶ丘保育園の買収資金に回ってしまった。その為、他の資金提供者を探した際梅田洋一氏の親戚に当たる野田良治氏が名乗り出て2億2000万円を“寄付”する事になった。その後も東氏は福祉施設を次々に開設したが、元々自己資金がない為星峰会の公金を私的に流用するなどした。その結果、星峰会理事会が平成26年に東氏を解任した。後任に梅田洋一氏が理事長に就任したが、内部告発で熊本市が特別監査を行い、理事長の交替を求めたのである。その時、梅田氏の従兄弟の川端氏が熊本高校で同級であった坂本純氏を推薦した。川端氏は「熊本市観光局長を務めた坂本は市長選に立候補を表明した事もある硬骨漢だ、市OBであれば今後も力強い存在になる」と語ったので、梅田氏他の理事も信頼し理事選任に同意した。平成27年4月、星峰会は敬人会に名称を変更し坂本新理事長が誕生した。

  後述しているが、坂本理事長は当初こそ職員や、入居者と円満な関係であったが、食事を外部業者に委託する、しないで職員、入居者とトラブルが始まった。入居者は委託先の食事が「不味い」と分かっていた為猛反発、熊本市に「委託しない様に指導してほしい」と署名簿と共に陳情したが、市高齢福祉課は反応しなかった。この他坂本氏が独断で決める事案が続出、理事の間で坂本理事長に不信感を持ち「辞めたい」と漏らす理事も出てきた。そうした中で平成29年に理事の任期切れを前に坂本理事長は古い理事らにアンケート方式で再任か否かの意志確認を行った。坂本理事長の人柄に疑問を持っていた一部の理事らは「辞める」と回答したらしい。坂本理事長は梅田洋一氏に「理事推薦は理事会当日でよい」と云っていたが、当日提出すると「もう理事は決った」として受付なかったのである。



平成27年
熊本市・社会福祉法人「星峰会」に改善命令
新法人「敬人会」移行時坂本理事就任
 坂本純氏が社会福祉法人敬人会の理事長に就任したのは平成27年4月11日、熊本市観光局長を定年退職した直後であった。この年3月13日付で熊本市は、社会福祉法人星峰会(梅田洋一理事長)に対し、「特別指導監査における改善命令」を出した。理由は社会福祉法人星峰会「わらべ保育園」設立時に資金として野田良治氏が寄付した2億2千万円を後日「借入金」に変更、星峰会から野田氏に対して給与の形で返済が続けられていた事。星峰会東三起夫理事長の公私混同した星峰会の公金の流用・理事会、評議員会の定時総会を怠り、監事らも職責を果たしていない等々多分野に亘って違法行為が行われていたというものである。

 星峰会東理事長と云えば、小紙読者はよく御存知の「落水、紫垣両市議が絡んだ桜ヶ丘保育園売買」問題があるが、これは他面に譲る。東理事長の出鱈目な法人運営に市が改善命令を出し平成26年3月、理事会は東理事長を解任、同4月11日付で理事の梅田洋一氏が仮理事長に就任したものの、東前理事長の路線を継承。星峰会から野田良治副理事長に給与名目で支払われていた「返済金」(月額70万円)の支払いを継続した。その他星峰会設立時に建築資金として寄付した金が後に短期借入金として経理処理されているなど福祉法人法違反が分かり、熊本市が特別監査。熊本市は理事会に対し梅田洋一氏の理事長及び経費老人ホームわらべ苑施設長の職を解任すること。野田良治氏の副理事長及び事業所統括部長の職を解任すること。東三起夫氏のわらべ保育園施設長の職を解任すること。梅田、野田両氏については理事としての適格性を審議し、その内容を市長に報告すること。東氏については、理事長の責任を明らかにし、わらべ保育園就業規則に基づく懲戒処分を行い、結果を市長に報告すること。という厳しいものであった。

 この改善命令で、「理事長については法人外部から登用を行い、その結果を市長に報告すること」とあり、これを踏まえた理事会で梅田氏が「今春市役所を定年退職する坂本純観光局長ではどうか」と提案した。理事会は、福祉法人が市の監督下にある事も考慮してこの案を承認した。理事長就任後の坂本氏は周囲の言もよく聞いていたので入居者や職員とも共歓迎した。しかし、就任1年目頃から徐々に独善的になり、施設の運営も理事会に諮るものの「反対意見を無視」して自分の構想通りに事業を進める様になった。又、意に添わぬ職員を配転するなど為出かす様になったのは前述した通りである。



平成29年4月
新理事会発足 暴走が始まった
 理事の選任は評議員会が行う訳で選定委員会当日に提案しても問題はない。理事長が評議員会の理事選定に口を挟む事は出来ない筈。だが坂本理事長は前理事長の要求を撥ね付け新理事を決定した。新理事は坂本純(理事長)、梅田セイ子(梅田洋一氏妻)、池田洋子(わらべ保育園々長、元市幼稚園連盟会長)、塘中康之(税理士)、長井幸代(わらべ保育園副園長、野田良治氏の娘)、川端哲哉(梅田洋一氏従兄弟)。以上6理事の内、坂本理事長を除く5名の理事は坂本理事長支持が4名、反坂本は梅田氏一人だけである。何故この様な理事構成が出来上がったのか。偏に坂本氏の智略と云っても過言ではないだろう。

 坂本氏は熊本高校から九大に進み、8年掛かりで卒業した。8年掛かったのは「語学を学ぶ為」と云われ、英語など外国語に通じている。昭和56年4月、熊本市に奉職、豊富な語学力が買われ、市職員の外国人対策で外国語の教育指導に当たっていたと云われる。主に観光畑を歩き、最終ポストは経済観光局長に就いた。市役所内では「好き嫌いが激しく嫌った職員とは口も利かない。思い込みが強いので自説に拘り、視野が狭い」等好評の声は聞かなかった。こうした人物が理事長という一国一城の主に就いたのである。自説を通そうとする余り、職員達と軋轢が生じたのも“当然の帰結”であろう。



 社会福祉法人で又揉め事が表面化した。又と称したのはこの種の法人は全国的に揉め事が多い法人だからである。今回は熊日でも大きく報道されたので広く県民に知られているだろう。小紙も熊日に前後して情報を得ていたんだが、遅刊が恒例化した小紙がやっと本号で報道となったのである。最近でこそこの種の福祉事業は人手不足を来し、職員不足が原因で経営不振に至る施設が増加している。しかし、敬人会の前身である星峰会が創立された頃は「福祉事業は儲る」として各病院や小金持が事業に参入した。

 星峰会もその一つで、不動産業を営んでいた東三起夫という小賢しい男が福祉事業を思いついた。思いついたが金がない。そこで業務で知り合っていた梅田洋一に甘言で接近、土地600坪と資金1億数千万を提供させた。福祉法人の場合、株式会社と違って出資は認められないので表面上は寄付である。その寄付金は施設完成後、当事者や身内を“雇用”して高額な手当を払う事によって“分割返済”する。順調にいけば寄付者(出資者)は長期に亘って収入が保証され、創業者は高収入の上施設の専有も夢ではない。わらべ保育園も東は同じ手口で梅田の親戚野田良治から金を引き出した。だが欲に駆られて詐欺師の落水市議に騙され大金を渡した事から歯車が狂い出した。今回の一連の騒動は、創立者を始め、“出資”した者達は“同じ穴の狢”。全てが欲望から始まったと云ったら云い過ぎか。(敬称略)



評議員・理事ら意中の人物で構成
熊本市福祉健康局も指導手加減か
理事・職員らの告発 半年放置
 1面でも述べたが、平成29年に開かれた理事会で坂本純理事長は“意に染まない”理事の排除に成功した。以後敬人会の運営は坂本理事長の独断専行で行われ、入所者や職員の要望を無視し続けた為、関係者の不満が爆発。昨年4月頃から監督官庁である熊本市健康福祉局及び市長、市議会宛に陳情や告発が続いた。6名の理事の内ただ一人反坂本の理事である梅田せい子氏からは、理事として知り得た敬人会の役員人事選考の出鱈目振りや、法人法及び敬人会の定款を無視した理事、評議員の選任について詳述している。他の職員も、夫々の部門の立場から入居者サービスの低下、一部役職員の暴力事案、市に提出した勤務表の改竄など、本人しか知り得ない告発を、それも実名を署名の上提出した。加えて「わらべ苑」入居者が「食事の外部委託」反対の請願を行うなど施設全体の改善について市に訴えた。しかし、担当の高齢福祉課からは何度か電話があったきりで、以後本年3月迄放置されていたのである。内部改善や待遇の不満などは決して小さな問題ではないだろう。又、公費である給付金の減額から免れる為の勤務表の改竄は、「税金泥棒」である。早急に対応をすべきではなかったか。

 業を煮やした告発者は本年3月23日、池田健康福祉局長と面会、告発、陳情に対する対応の遅さを糺した所、池田局長は「精査致します」と約束した。が目立った動きがなかった為同月28日、梅田理事ら3人が熊日記者同伴で高齢福祉課を訪ねた。対応したのは大川主査、藤本、蟹江の3担当者であった。この場で告発者側は「坂本理事長から『大川主査は私と繋がっているから大川の云う事を聞いていればいい』と云った」と伝えたが、大川氏は「そんな事はない」と否定。市に提出されている小規模多機能型居宅介護施設「きずな」の昨年7月、8月分の勤務表が改竄されていると説明。(表参照)。大川主査らは3月30日に「実地調査を行う」と約束した。30日午後、大川主査以下28日と同じメンバーが敬人会(きずな)を訪問、実地指導監査通知書を手渡して監査に入った。しかし当初は告発した職員から事情聴取を行っていたが、途中から岩永事務局長が入って職員に代わって応対した。市職員らは提出された出勤簿、勤務一覧表など一部を突合せて調査したが、一部に不備が見つかると「これでは不正勤務した証拠にならない」として調査を打ち切った。「明らかに坂本理事長への配慮と感じた」と職員は話す。4月11日付熊日は社会面で「熊本市の社会福祉法人 勤務改ざん、提出か 休暇を出勤に 給付費不正受給疑い」と大小の見出しと改竄した勤務形態一覧表を載せて大きく報道した。熊日は翌12日朝刊でも「熊本市内部告発対応せず」の大見出しで、内部告発に対する市の杜撰な対応を批判的に報道している。この記事の中で「―介護福祉分野は、内部告発者の保護を目的とする公益通報者保護法の対象…」と記しているが、坂本理事長と幹部らは結託して内部通報者にパワハラ。本年3月30日現在、十数人が退職、雇止めとなっている。




上記管理者の内、告発グループと見做された4名が退職。異動させられた者も居る


注坂本理事長のP5は午前9時30分~12時迄の勤務時間を示す。他の9人の組替えも1カ月の規定勤務時間に合わせるためのもの(紙面の都合上、14日~31日は省略している)




 下の毒含流は先々月号の再掲載である。次号(先月)で続きを書くと予告したが、毒含流の枠内に収まらないのが分かった。3面に回す予定であったが、斉藤市議の「公園用地不当売り付け」記事を再現した為3面も使ってしまった。代りに毒含流は緒方市議を採り上げた。KKT報道には大分期待した向きもあった様だが、本号で納得してもらいたい。

 KKT(熊本県民テレビ)のキー局は日本テレビ放送網(株)(読売系)。毒含流で「大失態をやらかした」について説明する。テレビ局や新聞社が外部からの抗議を受け付けないのを失念していたという意味である。筆者がKKTの報道部長と話したかったのは昨年11月10日放送の「情報ライブミヤネ屋」についてであった。抗議する要素も気持もなかったが、北口和皇問題に係る映像作りが余りにも偏っていると感じたので筆者の“感想”を話したかっただけである。この番組の制作は大阪読売テレビだが、地元局のKKTが協力したのは当然であろう。何度も云っているが、筆者が北口市議を庇う理由は全くない。が食肉センター廃止に伴う諸問題、就中栗山陳述書に始る“和皇落し”が許せなかった。ただそれだけである。所がKKTの報道部長が居留守を使い、出て来た早川と名乗るトンマが横柄であった。だったら「こちらも書くよ」となったのである。大失態の一つが左の毒含流にある「…貴方もうちの新聞見ているでしょう。あれが事実ですよ」だ。筆者にその気はなかったが“自惚れ”ていると取られ兼ねない発言であった。常日頃、知人の記者らから「県民新聞はわれわれも注目していますよ」と聞かされていたので、北口問題を報じた小紙も読んでいる筈との思い込みからあの発言になってしまった。

 閑話休題。熊日が本年4月16日付社会面で「KKT社長女性に嫌がらせ、臨時取締役会で解職へ」の見出しで同社梅原幹社長の“ハラスメント”を報じ、18日付で「KKT梅原社長を解職、複数女性にハラスメント」の見出しで日テレから天下った梅原社長について報道した。同社長の「女好き」は昨夏頃からメディア関係者の噂に上っていたが、小紙としては興味がなかった。が早川記者の言で反骨に火が点いた。熊日は「ハラスメント」と遠慮した表現で、県内の各民放は気配りで報道なし(筆者は見ていない)だが、梅原社長は複数女性にセクハラを行っていた。匿名を条件に同社関係者は「被害者の一人は梅原が専務として赴任した平成28年の秋頃『胸を触られた』として退職を仄めかしたが、同僚が引き留めた。翌年社長に昇格してから身近な女子社員(家庭持ち)を誘った。次に手を出しかかったのが某記者。この記者が片岡会長に直訴して問題が発覚、同社のコンプライアンス委員会が『事実』と判断、熊日が報じた処分になった」と語る。その人物は、自社の社長を呼捨てにする程怒りを隠さなかった。梅原幹氏は民放界で遣り手と云われる小杉副社長の側近中の側近で、日本テレビ放送網30局の中でも“格が高い”とされるKKTに天下った。問題発覚後日本テレビの大久保社長が西下、KKT片岡会長に謝罪して一件落着となった。





元報道部長もパワ・セク
 KKTの元報道部長は仲々の遣り手であった。報道意欲も同業他者に比べ高かったと云われていた。気も強く自我も強かった。記者らの遣い方も荒くパワハラは常態化していたと聞く。その為反感を持つ部下も多かった様だ。加えて某女性社員との仲も耳にした。相手は旦那持ちと聞いたので筆者は「あの堅物の男がそんな事はあり得まい」と思いながら時折電話で情報の遣り取りをしていた。梅原氏が専務取締役で天下りして報道部門まで嘴を入れだしたので部長が反発、2人の仲は険悪になったという。某日、部長から筆者に電話があった。「市内某社のXを知っているか」と云うので「知っている」と答えると「目下Xをある疑惑で調査している。福島さんは何か知らないか」「知らない」と答えると「これは面白い事件になる。今記者を張り込ませている。何か分かったら教えてくれ」であったが、これは不発に終わった。この問題を公表したら社長の首が飛ぶかも。



創刊23年を振り返る〈6〉
熊本市・圧力に屈し不用土地買取る
 この欄は小紙がスクープした記事や、社会的に話題を呼んだ号を採り上げている。本号では中村市議(N)と倉原商事(K商事)が絡んだ土地売買をスクープしたものである。発端は匿名の不動産業者からの通報であった。同業者は「熊本市がわれわれを通して土地を買い上げる時には『更地』を要求するが、倉原商事が持つゴルフ練習場は上物を含めて売買交渉をしている」というものであった。

 初報道はこの号の丁度1年前の7月号。「熊本市」の横見出し(白抜)の下に「住宅用地高く買え」「N市議強引に仲介」「鑑定価格と開き過ぎと市は静観」の見出しで、倉原商事の土地を中村市議が仲介して熊本市に買い取りを要求しているというものであった。この報道で熊日の記者から「福島さん、あの記事を使わせて下さい」と申し入れがあった。「ああ、いいですよ、どうせうちの取材は荒っぽいし報道も雑ですからどうぞ」と答えた。熊日は某記者をメインに取材班を編成しようとしたが、この記者が市の幹部と癒着していて辞退したので別の人物を充てて取材班を編成して報道した。

 熊日の記事は大反響を呼び、共産党系市民団体が提訴して最高裁まで行く騒動となった。小紙は小紙なりに熊日とは別の視点で取材して報道したが、この土地売買は小紙が初報道した頃には熊本市の幹部らが倉原商事側に買い取りを約束していたのである。所が小紙の報道で問題が表面化、多くの市民が知る所となった。その為、動けなくなり問題を凍結しようとした。これに資金繰りが苦しくなっていた倉原商事が怒り、「関係した助役、斉藤建設局長らを市役所エレベーター内で刃物で脅した」「県庁東門前の和食料理屋『大銀』に呼び出し話合いが持たれた」等の噂が飛び交った。詳細は当時小紙が報じたと思う。

 その頃から「斉藤建設局長」は裏街道を歩く者達によく知られていたのである。前号で再報した「自己所有地を市に売り付け」など“屁の河童”であろう。すったもんだの末ゴルフ場は熊本市が買い取り、倉原商事は滞っていた税金などを支払った。この一連の報道に対し、3月号北口和皇市議特集の中の3面「北口市議から筆者に100万円以上」「市議会議員の噂に応える」の見出しの中で“金で買収されない証”として例を挙げたのがこの倉原商事だった。土地は買ったものの地盤が軟弱であった為熊本市はゴルフ練習場として使い「少年達を育成する」としたが失敗してしまった。



 社会福祉法人敬人会(旧星峰会)は創設者の初代理事長が次々と事業を拡大した。各施設も全て補助金が出る福祉事業で、施設名も同名があるので2面に組織図を掲載し、読者に判り易くした。施設管理者(施設長)は平成29年10月1日現在である。この中で勤務表の改竄を行ったのは「小規模多機能型居宅介護きずな」(以降小規模きずな)。「サービス付高齢者向け住宅きずな苑」(以降きずな苑)。両施設の管理者は「永里拓之」氏と覚えておいて頂きたい。2面に掲載した平成29年8月の小規模きずな8月分勤務表改竄は7月、9月分も資料を入手しているが紙面の都合上8月分を掲載したものである。何故勤務表を改竄したのか。理由は「介護給付金」の減額を免れる為である。介護給付金は職員×就労時間の月間合計時間の基準に対し、就労時間が2カ月に亘って不足した場合、次の月で減額されるのである。職員不足の小規模きずなの正規基準時間については、告発者側資料によれば7、8、9、10、11の5カ月の内、基準を満たしているのは11月だけで、他の月は基準に達していない。しかし、市の試算では8月分だけが基準を満たしていないとして「1カ月だから減額の対象にはならない」と回答している。

 市の監査は、何故か「サ高住」の職員からの聞き取り調査は行ってなく、「事務局提出の資料を“遣り繰り”して数字合わせをした様だ」と関係職員は分析している。特に坂本理事長については勤務表に見る様に改竄前は永里氏が名簿のトップであるが、改竄後は永里氏の上に坂本理事長の名前が挿入されている。「P5」は午前9時30分~正午迄の勤務時間を表す。職種欄の③は職種の「介護職」である。この点は熊本市から「理事長が就くのは不適」と指摘しているが、それによる勤務表の改竄は切り離し“前観光局長”殿に配慮している。

 改竄を行ったのは「坂本純理事長、岩永靖宏事務局長である」として同法人理事から刑事告発(保留)されている。上からの指示とは云え改竄表を作成したのは永里拓之氏。所で坂本理事長らの不正を告発した職員らは、坂本理事長以下幹部数人によるパワハラで退職、又は持っている技倆を生かせない職場に配置転換されている。

 退職者が続出しだしたのは坂本氏が理事長就任1年後頃からで、この一事を見ても坂本理事長の横暴振りが分かろうというもの。平成28年6月、M管理栄養士。9月F計画作成者。同M施設長休職。11月H施設長。29年4月K栄養士。同I介護福祉士。9月Yケアマネージャー。10月K介護福祉士。同N看護師。同T介護福祉士。同I介護福祉士。11月M看護師。同S介護福祉士。30年3月K介護福祉士。同Tケアマネージャー。同M看護師。告発後の昨年9月から本年3月末まで実に10名もの職員が退職しているのである。退職者の内、パワハラが直接の原因になったのは8名、他は理事長やその云いなりになっている幹部ら、職場の雰囲気に嫌気して自主退職している。職場のパワハラを市に訴えているが、これは労基局の管轄、今後の為にアドバイスをしておこう。



給食外部委託を強行
入居者の食事の愉しみ奪う
 筆者が入手した資料の中に次の書類がある。「給食事業委託中止の嘆願書」提出相手は「社会福祉法人敬人会 理事長坂本純様」となっている。日付は平成30年1月15日。嘆願内容を要約すると「平成30年4月1日から予定しているわらべ苑の給食の外部委託を中止してほしい。過去も同一法人で他の会社に委託しているのは知っているが、その時の食事は美味しかった。しかし、今回委託を予定している業者が、他の施設に提供している食事を何度か食べたが粗末な内容であった。事務局長さんから『外部委託で食事の質は落とさない』と説明があったが事実は異なっている」と云うものだ。

 わらべ苑の入居定員は50人と聞くが、現在満室で、その入居者の内45人の署名が添えてある。にも拘わらず岩永靖宏事務局長、坂本純理事長は一顧だにせず無視を続け、本年4月から西区横手町在の調理会社「和げん」に委託を始めている。この和げんが提供する食事は「味、量、質ともこれまでと格段の差がある」と多くの入居者が訴えている。入居者の中に熊本市役所OB、県警OBが居て、筆者と熊本県民新聞の事を知っている為直接訴えて来たのだ。

 坂本理事長が外部委託に踏み切った理由は表向き「敬人会の運営が赤字だから高給を支払う調理師は不用」として2名の調理師を再雇用しなかった。調理師の一人は月給40万円、あと一人は30万円で調理師として特に高い訳ではない。加えて云えば、坂本理事長は「赤字、赤字」とよく職員達に云っているが、施設単位で赤字の所もあるがトータルすると平成29年度は240万円(90万円説も)の黒字となっているのである。黒字、赤字は敬人会の場合「事務局で数字の動かし方次第でどうにでもなる」という声も聞く。

 委託先の和げんは、元望星に居た調理師ら数人が独立して経営しており福祉施設を設立した折調理部門も立ち上げた様である。その中の一人が「敬人会渉外担当野田良治氏と係りが深い」と云われる人物である。野田良治氏については、前にも書いているが、わらべ保育園設立時に2億2千万円を寄付、後に貸付金として法人から返済を受けていた。熊本市は、この行為も違法として改善命令の中で指摘している。次号で書くがこの野田氏の処遇は初代理事長東氏、2代目理事長梅田氏が行った「寄付金返済に当る」として市が出した改善命令の中で「不法行為者」と断じているが、何故か今も勤務しているのである。

 施設の入居者の愉しみの一つは食事である。星峰会時代からわらべ苑などの食事は東理事長が代表を務める(株)望星に委託されていた。委託と云っても単なるトンネル会社で、調理師は直接雇用されている。腕のいい職人だったらしく「和食を中心に美味しい食事でしたので、いつも食事時間が待ち遠しかった」と入居者は懐かしんでいる。



坂本理事長
年収1,000万前後
 敬人会坂本純理事長の年収については見出しにあるように1,000万と聞いている。金額の根拠について関係者の一人は「前理事長達の年収を基にしているのではないか。しかし、東理事長は創設者であり多少の寄付も行っている。2代目理事長は土地を始め2億円近い寄付を行っている。2人の理事長の年収は1,000万円超と云われていたが、これは頷ける。坂本理事長は市役所を定年退職後の再就職だ。少し高過ぎるのではないか」と批判する。熊本市を局長で退職したOB氏も「えっ、それは貰い過ぎじゃないですか。現役以上ですよ」と語る。この給与については当初梅田氏が決めたが、熊本市からの指摘で本年4月の評議員会に提案し承認を受けたと云われている。

 星峰会時代から事務管理に携わっていた岩永事務局長については「本来なら坂本理事長が就任した際、旧悪を一掃する意味でも何らかの処分が行われて当然の立場であったが、岩永氏が居なくなると坂本氏では何も出来ない為留任している。この点も熊本市が指導すべきだが見て見ぬ振りをしている」とは元中堅幹部の話である。岩永氏の年収は852万円と高額である。この他元副理事長で、市から強力に善処するように指導があった野田良治渉外担当(特別顧問)は、和げんからの給食を受け取ってわらべ苑などに運搬する職に就いていて月収45万円、年収540万円を得ている。野田氏について熊本市は「東理事長は寄付を条件に保育園経営を任せるとの合意で(中略)家族3人の雇用を約束、平成29年4月の開園に当たり野田を副園長、実子の長井幸代を用務員に雇用、これは資金援助を条件にした経営権の売買である」として、厳しい改善命令を出しているが坂本氏は無視している。



市の改善命令無視か
 熊本市が平成27年3月、社会福祉法人敬人会に対し業務改善命令を出した事は前にも書いた。内容も本号記事で引用している。本欄もその一部だが、野田氏は平成21年4月に一旦退職、翌22年4月に復職しているがこの間勤務実態がない。しかし「星峰会からは毎月給料が支払われており、その総額は766万円で、東理事長、野田副理事長は法人に損害を与えている」と断じている。これらの事実を坂本理事長が知らない筈はなく、前述の様に野田氏を給食の搬送係(組織図では渉外担当)として雇用、45万円もの給料を支払っている。又実子の長井幸代氏はわらべ保育園副園長の職にあり池田園長と共に理事を務めている。この事は、市が指摘した個別事項にある「勤務実態のない給与766万円が星峰会の損害になることを踏まえ、東三起夫前理事長、野田良治副理事長の責任の所在を明確にし、具体的な回復措置を実施するように」との改善命令に反しているのではないか。野田氏の“寄付金”は「保育園の事実上の売買である」として野田氏の副園長、実子の長井幸代を用務員の雇用は違法としている。その長井氏を副園長に据えているのは偏に坂本理事長と野田氏の癒着ではないか。
*
  * *