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〒861-8034
熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
FAX:096-234-9883


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来年度予算103億要求
未知数の費用対効果
 平成18年、幸山政史市長は産文会館一帯の再開発を公表したが、発案者の民間業者が土地投機に失敗してこの計画は消えた。その後産交ホールディングスが打ち上げた桜町再開発に同調、支援を約束した。熊本市は来年度予算にこのMICE施設整備に103億円を計上すると発表した。以後3年に亘って100億円以上の資金が投下されるが、この事業を成功すると思っている識者に出会った事はない。

 熊本市は去る1月、来年度に向けた予算の編成の一部を公表した。MICE施設整備費約103億を要求したのは観光文化交流局。今後3年間で312億円を予定している。この中には土地代85億円が含まれているものの、建物関係費約200億円は今後2〜3割のアップは避けられないとは市関係者の話。加えて平成30年竣工予定も怪しくなっているのは関係者の間では常識となっている。と云うのは「熊本都市計画桜町地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事」という長ったらしい名前の建築事業体がスーパーゼネコン大成活齊ミに絞られた事である。当初熊本桜町再開発会社(矢田素史社長)は工区を東西に分割、公募した結果西工区を鹿島、東を大成に選出した。しかし、その後工事費等を両社と協議したが、工事期間、建設費が合わないとして鹿島が下りたのである。大成が東工区を取れた(一社しか応募しなかった)のは、産文会館を中心とした再開発で営業が先行していたのが影響していた様だ。鹿島が下りた結果、東西2工区とも大成が施行するとなった。所が大成は国立競技場建設も請けているのである。ザハ案が流れて再計画された競技場は工期が限られており、大成は1工区だけでも5000人規模の職人を必要としているのである。先で書くが、大成はJVを組む地元Aランク建設業者に声をかけているが、余りにも一方的条件の為応じる業者は限られるものと思われる。となれば、工期が延びるのは当然の理であろう。

 大西一史市長は平成27年12月に市長就任の直後に熊本市民病院の建て替え凍結を決めた。理由に事業費の高騰を挙げているが「真の理由はMICEに多額の費用を注ぎ込む為病院建て替えを先延ばしにした。幸山前市長の意向だ」と事情通は話す。「市民の生命より経済を優先した」と云われて当然であろう。その経済効果だが、熊本市が平成26年3月に公表した「熊本市MICE施設整備基本計画(案)」第5章の2、費用対効果の算定(1)効果(便益)の算定で「費用対効果の基本的な考え方として『費用便益分析』『投資回収分析』がある。『費用便益分析』は、直接的に収益を得ることができない公共施設の整備(公園やスポーツ施設、道路等)を対象に、投資対効果を分析するもので、施設整備によってもたらされる便益を、経済学で裏付けされた一定の考え方に基づいて貨幣換算し、長期スパン(通常は50年)で投資に伴う費用と比較することによって、プロジェクトの妥当性を定量的に判断するものであり、国土交通省の試算モデルによって算出することが可能である。

  一方、『投資回収分析』は、収益が見込め、投資を回収することを目的とした民間施設に対して用いられる。新規MICE施設は、利用料収入を得ることは可能だが、自施設で投資額を回収することを目的としていない施設であるため、上記の『費用便益分析』や『投資回収分析』での評価は適さない。ただし、新規MICE施設を整備・運用することで、地域経済・産業に対して大きな経済波及効果を生む施設となることから、経済波及効果における『営業余剰』『所得誘発効果』を投資に対する効果(便益)とみなした。」と説明している。次に熊本市が計算した捕らぬ狸の皮算用を見てみよう。



熊本市試算の年間催事件数で
波及効果年間167億9500万円
 熊本市作成の前記基本計画(案)の42頁では「想定催事件数、経済波及効果」ではコンベンションとして「学会・国際会議28件、総会・大会52件」(参加人数省略)イベント「展示会、イベント79件」「コンサート38件」以上で年間利用者数30万3450人。年間経済波及効果(年間生産誘発額167億9500万円としている。「経済波及効果、税収算定結果詳細」では、経済波及効果として、「年間生産誘発額167億9500万円。消費活動を通じて、事業者の生産(売上)が増大することによる波及的な経済効果」。「年間営業剰余、20億3000万円。生産活動を通じて、企業の営業余剰が増加する効果」「年間所得誘発効果、49億3000万円。生産増加にともなって、雇用者の所得が増加する効果」。税収(熊本市)「法人市民税1800万円。個人市民税4400万円。地方消費税2400万円」が挙げられている。紙幅もなく、経済専門家でもない筆者がこれ以上の論評は避ける。因に同文書3頁に「都市別国際会議の開催件数(平成19年度〜23年度)によれば各年とも東京がトップ(これは当然)だが、福岡市が平成19年の4位から毎年順位を上げ、平成21年から2位を不動の物にしているのである。熊本市は平成19年15位、20年18位、21年23位、22年57位、23年21位である。

 この一事を見ても「箱物を作れば集客出来る」思考は甘いと云わざるを得ない。熊本市は「MICEが出来れば福岡止まりであったポップス系のコンサートが熊本でも開催出来る」としているが、熊本のファン数、経済力(高額チケットが捌けるか)、移動の利便性等でツアーが組まれるのではないか。クラシックを例に挙げると、県立劇場(1800人収容)は音響効果が優れていると云われるが、年間のクラシックコンサートは数える程しかない。「チケットのS席12000〜15000円が完売する事はない」と県劇関係者に聞いた事がある。真の受益者はHISグループの産交HD以外にない。熊本市が350億以上を投資(保有床購入)する上、市や国の補助金を加えるとグループの負担金は200億に満たないと計算した市議が居る。9月市議会での結論を多くの市民が注視している。



 熊本市で過去最大となる資金投下が始まろうとしている。平成20年6月産交HDは「桜町再開発準備(株)」を設立した。県民百貨店を含む一帯の自社所有地を再開発するというものであった。これより少し前、熊本市は「中心市街地活性化計画」を立案、産文会館一帯を再開発する意向を表明していた。幸山市長が常々念仏の様に唱えている「中心街のにぎわい作り」の一つであった。しかし中心になって動いていた雇用事業会が周辺の土地を高値で買収した所にリーマンショックが発生、金融機関から追加担保を求められる破目になり事業計画は頓挫した。ここで幸山市長は産交HDが仕掛けた「桜町再開発」にのめり込む事になる。

  当初市は、複合ビルの一角に3000m2程の多目的ホールを予定していたが、花畑地区が失敗に終わると急に多目的ホールの計画を変更、大規模コンベンション施設へと舵を切ったのである。その経緯を誰も知らないのである。否、知っている者は居るんだがこの人物は決して表面に出て来ないのである。裏から幸山市長を操り、大西一史新市長に事業を継がせたのである。大西新市長は、形式的“市民の意見を聞く”セレモニーの後、事業の継続を決定、来年度予算に103億円を計上するとして公表した。最終的には350億円に達すると思われるMICE施設に代えて、老化が激しい市民会館を解体、地下1階、地上4階程度の建物を作れば2000人規模のホール、多目的会場は充分に可能と云われる。それでも200億円はかからず、建設後の維持費も極小で済むと云うのだが。



 ここに掲げた様に村上寅美元県議会議長、現自民党熊本県議団団長から、熊本県民新聞及び発行者福島宏宛に抗議と、警告の手紙を頂戴した。日付は平成27年12月19日付である。

―前略

 貴殿におかれましては、ますますご健勝のことと推察します。さて、貴殿が主宰する熊本県民新聞二〇一五年九・十月号において、政治家・村上寅美の諸活動について、名誉を害する目的を以て、記事を掲載頒布されておりますが、貴殿は二〇〇八年二月号においても緑川養殖漁業生産組合について、あたかも問題があるかのような記事を掲載されましたが、この件ついては、衆議院の農林水産委員会で審議され、また、会計検査院の検査も行なわれましたが、何ら問題ないと結論づけられております。いずれの記事も本人の確認をとらず、悪意を持ったやり方に強い憤りを感じております。もし、貴殿において、しかるべき措置をとられない場合は、不本意ながら法的手続きを検討せざるを得ません。以上の事について、良識ある回答を待ちます。

 追伸 情報誌「選択」二〇一五年二月号で本職をひぼう中傷した記事について、発行人及び情報提供者を選挙妨害と名誉き損で顧問弁護士と協議の上、対処していることを申し添えます。
 平成二十七年十二月十九日
 福島 宏様
村上寅美印

 以上が本文である。
 この手紙を落手した時、筆者は11月号を執筆中であった。翌々日書き上げ印刷所に回したので返書を書いた。全文この面に載せているので一読願いたい。

 村上県議は文中「政治家・村上寅美」と自称しているが筆者は「政治屋」と認識している。「名誉を害する目的を以て」とあるが、これも誤解。村上県議の「名誉を害する目的」で報道した事はない。村上県議以外にも小紙の俎上に上がった人物は多々居るが、小紙及び筆者は「相手の名誉を害してやろう」と思って書いた事はない。名誉を害(毀損)して一体小紙にどんな利益が齎もたらされるのであろうか。直近の問題で村上県議の“刎頸の交わり”と評されている蒲島知事の問題にしても「巷でこんな噂が流れていますよ」と、軽〜るい気持で書いたんだが相手が悪かった。名誉毀損しようなど毛頭なかったのに提訴され筆者は完敗した。村上県議の場合は「権力を背景に力ちから尽 ずくで物事を運んでいる」と多くの情報が寄せられた。その中から選んで報道したのが九州生鮮のうなぎ産地偽装問題であり、緑川養殖漁業生産組合設立、及び公的補助金問題であった訳である。(弁明と立証の為4面で詳報する)。

 「本人の確認をとらず…」は小紙の基本方針である。小紙は某紙や某雑誌の様に有名人や企業の“提灯”記事を書く訳ではない。陰の部分、即ち不正義な部分を曝露する事に主眼を置いている。従って対象者に直接取材する事をしない。(かつての民事裁判で莫迦裁判官が「相手に会って聞けばすぐ分かる事を福島はそれを行っていない」など云っていたが、自分の都合の悪い事を聞かれ「はい、そうです」と認める者は先ず居ない。あれこれ手を回して“揉み消そう”と図るのが大方である(何度も経験した)。(村上県議は法的手段を匂わせているが。)「緑川養殖組合についてあたかも問題があるような記事を掲載したが、衆院の農水委で審議され、会計検査院の検査も行われ問題なかった」(要旨のみ)。と文書にあるが、同案件には、小紙平成20年2月号・同4月号他で徹底的に暴いているが、村上県議が納得していない様なので、本号4面で再報道すると共に、当時書かなかった部分も書いて村上県議への回答としたい。この抗議文というか、警告文は次を書かせないという威圧という側面もあり、書かれた側がよく使う手段である。で、11月号2面で村上県議の豪邸問題を報道した小紙は、村上県議の次のアクションを恐れたが今の所無事でいる。



村上県議への返信全文
 拝復 配達証明付き貴殿からのお手紙十二月二十日に受領致しました。折返し返信を致すべき所、県民新聞の十一月号の原稿書きに追われ今日になって仕舞いました。先ず反論を致しておきます。緑川養殖漁業生産組合についての記事、明らかに貴殿の違法性があるのは、記事を御読み頂ければ判ると思います。審議したのは「農林水産委員会」ではなく「農林水産小b委員会」です。当時の会議録は小生も入手致しております。会計検査院の検査結果は、追求していた代議士が辞職に追い込まれた為、中途半端に終わっていましたが、目下最終結果を確認中と申し上げておきます。「…名誉を害する目的を以て記事を配布…」につきましては、その様な意図はありません。小生が熊本県民新聞を二十二年前に発刊した際、確か貴殿からのし袋入りの祝金を頂いたと記憶しております。以後七、八年間、盆暮に五万円ずつ“購読料”として頂き、大変有難く思っておりました。そんな小生が貴殿について批判を始めたのは、貴殿の人間性に不信を抱いたのが原因です。年間十万円(だったと思っております)は小生にとっても大切な収入源でした。それを捨てて報道を始めたのは養殖うなぎの偽装、農水省が主唱した元気な水産業作り(名称ははっきり覚えていません)で、本来なら、県内のうなぎ養殖業十一業者が協同して養殖業を営む為の政府補助金の支給がありました。緑川にそれらの業者が参加してしかるべきであるにも関わらず、貴殿の身内を中心に組合を設立致しました。そうした行為に小生が義憤を感じて記事にした訳です。

 その他、貴殿の行為は多く耳にしていますが、毎号「村上県議絡み」の記事では読者も食傷気味になるかと思って(これは冗談)見過ごして参りました。書けば長くなりますので、この辺で小生の気持ちを申し上げます。先ず「しかるべき措置をとられない場合は、不本意ながら法的手続き…」と書かれておりましたが、それを小生は否定するものではありません。御自由にどうぞ、と申しておきます。但し「喧嘩はいつでも出来る」の例えもあります。今は年末、年明けも県議として新年会等に追われると思いますので、貴殿の時間が採れる日時にお会いして“腹蔵”なく、お互いに云いたい事、聞きたい事を話し合うのもいいのではないかと思っております。時間は二、三時間は要するものと思います。又、それによって小生が貴殿への批判を止める事はないとは思います。貴殿は余りにも多くの事柄に関与し過ぎではありませんか。御自身が一番お分かりの事と思いますが。最後に一言しますと、小紙を愛読している県職員、県警、熊本市役所の職員、県議、市議の中に「県民新聞の隠れファン」が多く居ること。小生の“情報網”を軽く見ない方が貴殿にとっても重要かと存じます。申し訳ありませんが十一月号でも書かせて頂いております。乱筆で申し訳ございませんが、小生、大事な手紙は自筆で書くように務めております故悪しからず。

敬具 

平成二十七年十二月二十四日
福島宏拝
村上寅美殿



 村上寅美氏の文書に「追伸」として以下の文言がある。「情報誌『選択』二〇一五年二月号で本職をひぼう中傷した記事について、発行人及び情報提供者を選挙妨害と名誉毀損で顧問弁護士と協議の上、対処していることを申し添えます。」というものだが、この文言、世間の常識と大分ずれている。小紙の読者には法曹関係者、司法関係者、メディア関係者が少なからず居るが、その人達は一瞬で読み取るであろう。選択の「発行人」は訴訟の対象となり得るが「情報提供者」は些かも責は問われないのである。この一文で村上氏は「ボロを出した」のである。即ち「福島よ、それ以上書くと法的手段をとるぞ」の意が丸見えではないか。報道機関には善意(正義感)悪意を問わず多くの情報が寄せられる。これら玉石混淆の中から有為な情報を選び出し、裏付けを取ってニュースとして報道されるのである。ネットの2チャンネルやSNSとは根本から異なっている。村上氏が謂う所の情報提供者が、仮に筆者としてみよう。筆者が選択の誰かに「熊本の村上寅美という悪の県議が居る。その県議は夫子ある自分の部下とカローラのバンに乗ってラブホに行った。県発注の塗装事業を自分の息のかかった会社に回した。土木建築工事で便宜を図り4%のキックバックをとっている。家の借金をバーターでチャラにした。」等々出鱈目な情報を流したとする。例えば選択がこれらを“そのまま”載せたとしよう。怒り心頭の村上氏は当然選択と、情報提供者を訴えるだろう。だが罰則の対象は出版した選択と記者だけで、情報提供者の筆者には及ばない。お分かりかな村上殿。

 ここで筆者と選択2月号の記事の関係を明確にしておく。平成26年11月頃「選択」を名乗る人物から電話があった。「記者か」と聞くと「記者ではないが選択の仕事をしている」と語り私は「『各県の土着権力の研究』を担当している」という事であった。「今日は熊本県の事を書こうと思うので“実力者”と云われる人物を教えて欲しい」と云ったので、県議の頂点に居ると思った村上県議他2、3の名前を挙げたのである。あれこれ20分程話した後「それでは取材で熊本に行きました折りにはよろしく」と云って電話は切れた。その内に来熊するのだろうと思い、この事は忘れていた。所が平成27年2月号を見ると上記の見出しで書かれていたのである。一読して「書いた奴は電話取材とネットの資料でこれを書いた」と見破った。小紙のバックナンバーから「緑川養殖漁業生産組合」問題を引用したのは明白。内容も広く浅い薄っぺらであった。無断引用など不満があったので選択本社編集長に一言、と思って2度架電したが、女が対応して編集者には継がなかった。以上が筆者と選択の関係でした。




リード文
 村上寅美県議(元県議会議長、現自民党県議団々長)の抗議文というか、提訴を踏まえての警告文に「緑川養殖漁業生産組合については、会計検査院も入って適正との結論を頂いている」(要旨)とあった。と云う事は、これら一連のうなぎ養殖について報道した小紙の記事が虚偽、又は誇大に報じたと捉えたからと一応善意に解釈しておく。(別な見方をすれば「これ以上俺の事を書くと提訴するぞの含意も感じるが)小紙としては裏付け取材も充分にした上での報道との証とする為、掲載した主だった紙面を掲げる。多分虫眼鏡で読めるだろう。これを回答としたい。



書かなかった情報源
ここで明かします
 小紙が(株)ヨーマン関連の報道を始めたのは平成20年1月号からである(下掲紙参照)。報道の契機は前年静岡市の食品総合商社「東海澱粉」のうなぎ偽装問題の発覚報道であった。東海澱粉大隈営業所(うなぎ養殖)は中国、台湾産のうなぎを鹿児島産、熊本産として出荷、多額の利益を上げていた。熊本では岩本水産(株)と九州生鮮の名前が挙がっていたので取材に入り、第1弾を1月号で、その後2弾、3弾と村上県議が社長、会長も務めるヨーマングループの疑惑を報道した。特に緑川養殖漁業生産組合の設立については、国と県の補助金を受けたにも係わらず「村上一族」と「村上一族の関係者」が役員に就任していた為“公的資金”の主旨に反するとして追求した(2月号、3・4合併号参照)。



 緑川生産センターは、国、県の補助金約1億6千万円が投入されている。平成17、18年に農水省主導の「強い水産業づくり」の交付金である。目的は「県内うなぎ養殖業者を一カ所に集約してうなぎの増殖を図るというものである。所が、生産センターの役員に県内養殖業者は1名も就いていない。村上県議は「会計検査院」に何の問題も指摘されなかった」と云うが、資金の使途と役員構成に問題があり、県には検査院から厳しい指導が行われた。補助金の返納も「命令された」と語る関係者も居るが、前にも書いた様にこれは「確認中」である。紙幅が尽きるので次を。
 緑川生産組合はスタート時誰一人専門家が居なかった。村上県議は伝手を頼り、うなぎ養殖のプロである北山某氏を工場長に据えた。北山氏は鹿児島出身で、全国を渡り歩くプロであった。4人の若者を連れて緑川生産センターに住込み、生産を軌道に乗せた。事務所の奥に食卓があり、その隣に畳敷きの部屋がある。酒好きの為、筆者が訪れる夜は大抵若い者と焼酎を酌んでいた。勿論村上県議のこと、監視役を怠る事はなかった。秘書的役目をしていたKさんを事務員として送り込んだのである。筆者はこのKさんと、若者達を避け密かに北山氏と会っていたのだ。以下次号。


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