熊本県民新聞 WEB版
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■ 発 行 所 ■
〒861-8034
熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
FAX:096-234-9883


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 警察組織が存在する理由は「法と秩序の維持」にある。

 警察法第二条Aでも「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきであって、その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保証する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」と規定している。第三条も「公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする」として宣誓書に署名して任命権者に提出を義務付けられている。

 ここに登場する元県警警部補Wと、当時現職であったTも当然この宣誓書に署名した筈である。その警官が相手の弱みに付け込んで多額の“上納金”を召し上げていたのである。小紙がこの情報を入手したのは平成9年10月のこと。取材を終えて記事を書き、校正のゲラを直した時、情報提供者から「新聞はもう発行したか」の連絡を受けた。「はい出来上がりました」と云えばよかったが、根が正直なもんで「今校正を終わった所で、明日印刷に回します」と答えてしまった。相手は「ソープ業者のAは弁護士と相談して県警に告訴状を提出したんだが、県警から『一寸待ってくれ』と云われた。数日して弁護士から『Wが1000万円なら返済出来る』と云われ、金に困っていたAはOKしたらしい。『記事を待ってくれ』と云って来たので発行を待ってほしい」と云って来たのである。情報源の意志は尊重すべきと思い左に掲げたスクープ記事を他の記事に差し替えた。最近この件と似た様な話が伝わって来たので、(数カ月探ったが証言がとれなかった)一握りの悪徳警官に警告の意味で18年前の記事を復元した。Wの跡を継いでいたTは翌年春の異動で郡部の警察署に飛ばされ無事定年退職したと聞いている。下の小紙1面の字が読めるよう大き目に掲載したが概要をここで述べる。

 Wは熊本県警北警察署防犯課(現生活安全課)に勤務中、未成年者を使用していた「トルコ風呂」(当時の呼称)を捜索した。経営者のA氏を取り調べたのがWである。送検されたA氏は執行猶予付実刑判決を受けたが、トルコ風呂の経営は続けた。Wは「近くに来たから」とか云ってA氏の元に顔を出すようになった。A氏は同業の知人から「少し小遣銭を出したら先々役に立つかもよ」と云われ「食事代」として最初は20万円を包んだらしい(情報提供者談)。その後は盆暮に定期的に渡す様になった。Wは他の業者が“売春容疑”で手入れを受けた事などを例に挙げて金額の増額を要求、数年後には1回200万円となり、更に300万円になった。この頃風俗の法規制が強まり以前程の水揚げが出来なくなった為、A氏は「盆暮200万ずつにしてくれ」と頼んだがWは聞く耳持たずで減額に応じなかった。

 Wは平成5、6年頃定年退職したが、A氏に後任として紹介したのがTで、他にYの名前も挙がっていた。T、Yらは「Wの使い」として金を受け取っていたと云われ、Wから“分け前”を貰っていたと周辺では見ていた様だ。



主犯格定年後ホテルに天下り
その後釜が12年以上居据り
 悪徳警官は何もこのWに限った事ではない。Wは当時の防犯課に所属していたが、同時進行の形でマル暴(暴力団担当)刑事らも風俗店、パチンコ店、高級クラブから通称「掠(かす)り」と称する金を盆暮に受け取っていたのである。一回の金額は5万〜20万円、5万は巡査、又は巡査部長クラス、5万以上は警部補、警部クラスである。これらのカスリは業者が保身の為に自主的に支払っており、半ば慣習化していると云っても過言ではない。十数年前「南町奉行」のシールまで作ってクラブ等から金を集めていた大阪の某署長が世間を賑わせた。商人の街らしい出来事と苦笑した覚えがある。話を熊本県警に戻そう。
 捜査二課には暴力団担当、知能犯担当、告訴担当の係が存在する。マル暴については前でも触れたが、知能犯担当についても一寸触れておく。

 知能犯とは読んで字の如く、頭を使った犯罪(詐欺、横領、選挙違反等)を捜査する係で、割と優秀な警官が配属される。この係は結構旨味のある部署で、詐欺や横領犯は相手にしないが、選挙違反を犯した政治家を検挙後、その政治家、又は秘書と繋がりを保つ者がいる。それを契機に「付け届け」が盆暮に届く様になる。もう定年退職しているが、某警部(当時)などは選挙の真最中に議員秘書を呼び出し「違反の事実を掴んでいる。取引きしないか」とはっきり金銭を要求した。が、その秘書は警部の上司と交流があったので「うちは○○さんと親交がある、取引きはしない」と云ったら要求を引っ込めた。これは当事者から聞いた事実であり、その某警部の「タカリ体質」は県警内でも有名であった。前置きはこれ位にして本題に入る。

 Wらの旧悪を曝露するのは、W程ではないが、現職の何人かが風俗関係者から“小遣い”を貰い「結構な暮らし」をしていると聞いたからである。小紙位が書いても否、天下の朝日、読売が書いてもこの“悪習”が消滅する事はないと思うが一寸「衿」を正してほしい意味で報道する。

 Wの勢力が全盛の頃、直属の部下Tの存在は先述したが、当時マル暴担当のY氏もWと連んで、又は単独で小遣い稼ぎに余念がなかったと、元同僚刑事が語る。Wは定年退職後、県北のKホテルに天下ったが、Kホテルはその前後に乱脈経営の弱みを衝かれ、福岡の乗っ取り屋から攻勢を受けていた。同ホテルのG会長は県警内に絶大な勢力を誇っていたKグループのトップK氏(当時県警は退職していた)に助けを求め、現職の実力者YM氏を動かしてくれと頼んだが冷たくあしらわれた。その為、W、Wの兄貴分のT氏、S氏、Y氏らに仲裁を依頼したが、金だけ取られてホテルは相手の手に落ちてしまった。その関係もあってWを受け入れた訳だが、Wは数年後退職、後任にY氏を入れたと云われる。そのY氏が在職12年を超えてもまだ“居据っている”として関係者は眉を顰めている。が、誰も面と向かってY氏に「後進に道を譲ったら」と云えないのが実情である。Y氏自身は周囲に「ホテル側が居ってくれと頼むので辞められない」と周囲に語っているが、代替わりしたホテル側は当人の存在を「持て余している」と親しい間柄の人物に漏らしている。

 かつて「トラブルある所に暴力団あり」と云われたが、代わって「トラブルある所に刑事(OBも)あり」では、真面目に職務に励んでいる警官達の顔に泥を塗る事になっているのは間違いなかろう。




 安保法制問題で国会が大揺れだ。一番笑えたのは自党が推選した憲法学者がこの法案を「違憲」と断定した時だ。自民党幹部は、どの様な形で人選を行ったのであろうか。人選を誤った経緯は明かされないままであるが、この時「合憲である」と意思表明をしていたら、以後の流れは相当変わっていたと思われる。野党を含む左翼勢力はこの法制について「戦争法案」「徴兵制が復活する」等々のスローガンを掲げて若者達を煽動している。メディアも若者達のデモを大々的に取り上げ「この法案に反対する為始めてデモに参加しました」など語らせているが、何の事はない裏を返せば身内が労組関係者や、左翼政党の活動家である事が多い。県紙である熊日も朝日に負けず劣らずで僅か2桁台の人数の集会でも細く採り上げている。紙面でよく目にするのが、各界の人々に語らせている“戦後70年”についてである。「70年間戦争がなかったのは平和憲法があったから」とか「70年続いた平和を今後も守っていく」など、無知蒙昧もいい所だ。70年間日本が平和であったのは、日米安保条約に守られていたからではないか。謂わば他国に日本の安全を委ねていたのである。その米国も世界の指導者たる地位を脅かされつつある現在、緊急的処置として安保法制の解釈の変更を目指して当然であろう。反対勢力に抜けているのは「日本の安全保障をどうすべきか」の視点がない。ただ政権を貶めようとしているだけで、国会論議も枝葉末節の部分で堂々巡りが続いている。結果的には参院で60日ルールで法案は成立するだろう。



 前号に続いて“北口市議暴言問題”について述べる。問題の3月16日発言については市が作成した「発言録」を参考にし、引用もする。同文書を読む限り北口発言は至極真っ当である。但し自己主張が強く、横道に逸れたり、知り過ぎている為、仲介人のI氏の思いを代弁するが如き発言が誤解を生んだのも事実である。加えて誇張された「栗山陳述書」を鵜呑みにした市議らの言動がより問題を複雑化した様だ。

 前号に続いて「北口市議暴言、調印式妨害問題」について書く。因みに前号の反応は「良く書いたな」と「少し北口寄りではないか」の声を頂いた。筆者としては、他の記事と差し替え、時間的制約もあった上、限られた資料と取材で書いた“走り書き”の面があったのは否めない。が、北口議員擁護の記事ではない。本号では3月16日の“調印式”に於ける会議の模様を録音から起こした熊本市農水商工局農業政策課(食肉施設プロジェクト)作成の「発言録」と、昨年7月1日に開かれた「三者協議」の録音を元に「栗山陳述書」の矛盾と疑念について述べる。

 両方とも2時間余の録音であり、栗山発言部分を抽出して記述する事をお断りしておく。栗山氏は平成27年3月23日付陳述書「熊本市議会議員によるパワーハラスメントについて」の中で「立会人である北口和皇市議が長時間にわたり調印式のために準備された資料を机に叩きつけたり、出席した関係者に向かって、心身に影響を及ぼしかねない恐怖感を抱くような大声で罵声を浴びせられたのです。田副市長様とは一時口論になったり、農水商工局長や場長の発言は遮り耳を貸そうともされませんでした。後略」。「別添付資料」として「北口和皇氏の発言時の概要」には「この席にはIさんが来とらん!どぎゃんこつか!これまでの問題解決にはIさんが仲介したけんまとまったつだろうが!Iさんが居らん調印は認められん」と記している。

 発言録では「(北口)あのね、私達が遺恨が残るけん。そらNさんも分かっとっとでしょ、あの人の性格は。子供ん時から知っとんなはっとだけん。今日、今日来とらんということがどういうことなのか。(N)私も行こうて云うたつですよ。そしたらですね、私は大体新ちゃん、隆ちゃんて呼ぶ間柄ですから、新ちゃん行こうよて云うたらですね…以下略」I氏は、自分が入った(仲介)が状況が好転していないから出ないといった主旨の発言。別添資料「しゃにむに調印ばするなら、私が出て行くけん私が居らんところでしなはる」「その調印は認めんけんな!」これも嘘。発言録の9頁最下段「(副市長)どぎゃんされますか。当事者の今日、調印式であると思うんですけれども。」「(北口)Oさんに聞きなっせ」「(副市長)先生が云わす気持は分かるばってんですたい。ここまでご尽力して、皆様たいぎゃ評価してですよ、その中でですたい、あなたも少しはたい、そりゃやっぱ…」「(北口)あんたは何ば聞いとっと話ば、ねぇ。市としてトップで出て来てたい、今まであんたさ誰が努力したつかいた」「(副市長)あたがしたていうこつは…」「(北口)現場が努力しとっとたい。職員が―。そればね―。現場が努力して出た結果は上の手柄、現場ができんだったつはたいねぇ、現場の責任、そぎゃんこつばっかしとっけんできんとたい。以下略」。同11頁、上から9行目「(栗山)北口先生、今日の調印式は止めなはりまっせ。そして―新ちゃんばですな、わしが連れて来るけん。再度やり直してくだはっまっせ。今日は取り止めなっせ。調印式は」。同13頁、上から25行目。「(栗山)多野局長また、再度やり直し。」「(局長)では、Nさんはどうですか。」「(N)私はもうですね。とにかくもうこの問題ではですね。後には振り返られんとですよ。」「(北口)そら分かっとったい。」「(N)そしてですね、熊本に他にありますか。」(筆者注、豚屠畜場のこと)。「(北口)じゃあ、私は帰るけん。帰るけんあたどんでしなっせ。」その後は北口議員がN氏に対し、I氏の無田川の漁業権、農区、経済連の問題等を喋り続けるが省略。同14頁上から29行目。「(栗山)さあOさん、たかちゃん、そらあ先生の意見ば尊重してまたやり直しなはりまっせ。」同15頁、下から5行目。「(栗山)局長さん。今日はもう北口先生の御意見ば尊重してですたい、やっぱ、またやり直しなはらんですか。」同17頁はN氏の感謝の気持がI氏に伝わっていない。その為I氏が怒って農業用水路の工事が止まっている等、北口議員がI氏の気持を代弁したかの如く喋っており、これが他の市議やメディア関係の誤解を招いたと云える。

 以上略々記したが、栗山氏が陳述した“人権侵害”など全く無かった事が理解出来ると思う。調印式中断を最初に発言したのは当の栗山氏ではないか。それを北口議員の暴言によって調印式が出来なかったと虚偽の陳述書を市長、市議会議長宛に提出した目的が奈辺にあるのか。いや、陳述書を提出し、北口議員を「追い込もう」とした意図は何であるか、筆者の想像力をもってしても判然としない。更に加えるなら、この調印式が混乱したのは、熊本市が業者側の要望を無視したまま、調印式を強行しようとした所にある訳で、今後の対応を注視したい。



市営屠場廃止計画浮上時
業者の値上げ案 市は拒絶
 これも7月1日の三者会談の場で初めて公になったのだが、熊本市が平成15年に「市営屠場のあり方検討会」を行った前後、同所を利用していた多くの業者が「屠畜料を上げてもいい、他所並みにしてくれ」と市に申し入れている。しかし熊本市は「検討します」と云ったまま従前通りの屠畜料を改めようとはせず、結局最後まで赤字経営を続けた。

 この点について7月1日の会合でO氏、N氏は「私共はずっと前から上げて下さいと申し上げていたんですよ」。栗山氏「上げてくれて云いよったつですばい、上げなっせと」。北口議員「誰が局長の時?」。栗山氏「岡本局長の時たい」。平田次長「こらですね、平成15年の時にですね、在り方の検討委員会をしとっとです。食肉センターの事を検討した時、その時に出とる話でして…。」栗山氏「市役所は早う何処さんかぶりやろうとしとるけん聞くかいた」。多野局長「平成15年頃在り方検討会で廃止の方向性がなったから…」。N氏「10年間の屠畜料なら何億ですそりゃあ上げとけばその時に。」O氏「上げてくれて云われて、はいはい有難うで上げていたらですね、その後の経営自体も変わっとったかも。」以下略。

 この様に業者は、牛馬豚ともに他所並みに上げてくれと云ったにも拘わらず、市側は無視を続けた。その時点で廃止に向けて走り出したのは明白である。その後、熊本市は牛馬豚を一括して畜流センターに移行させようとしたが、園田中央会会長、上村経済連会長らから膨大な設備費用30〜40億円を要求された為これを断念した。そして一部有力畜産業者と謀って、その業者所有の土地(宇城市豊野町)に牛の屠畜場を建設して移転、馬の処理施設も同所に併設するとして、市は目下予算を計上している。豚については既報の通り一部条件が未解決の為全面移転出来ず、業者らは他県の施設を利用している。



人権侵害は栗山氏がやっていた
昨年4月・熊本畜流センターで
 栗山重信氏は、平成27年3月16日開催の畜産業者、熊本市、褐F本畜産流通センター(県経済連)、北口和皇市議参加の“調印式”が流れた責任は「北口議員のパワーハラスメント(人権侵害)にあり」として3月23日付陳述書を提出した。これに対し、熊本市は「その様な事実はない」と回答した。

 この回答に対し栗山氏は5月15日付で再度陳述書を、新市議会議長に就任した満永議長、同藤岡副議長宛に提出。更に6月1日付で、前記陳述書を提出したとして議会事務局長宛に陳述書を提出した。何度でも云うが、この“調印式”に漕ぎ着けたのは北口和皇市議の尽力に他ならない。この事は前号でも記したが、何度でも書く。業者らが屠畜価格の適正化を求めて交渉しようとした畜流センター、熊本市農水局は全く聞く耳を持たなかった。業者らは交渉の窓口を開く為、代議士にまで陳情したが埒が明かず、結果的に北口市議を頼ったのではないのか。その前段階として平成26年7月1日、北口市議の“力”により、業者が望んでいた「三者会談」が実現した。ここで云う「三者」とは「3業者」を指すもので、市側が云う「1業者と、市・畜流センター」との「三者会談」ではない。

 7月1日の会談は、畜産業者(豚が主)と熊本市(多野局長ら3人)と畜流センター(経済連)が参加して行われた。その中で栗山氏は、同年4月10日単身で熊本畜流センターに行き、入場を拒絶された経緯について述べている。その中で栗山氏は「経済連の会長も畜連の会長もアークホテルで会議がありよるて云うけん『すぐ戻れて云え』てやかましゅう云うて戻って来た」と話している(大した実力の持ち主である)。栗山氏と直接対応したのが、同センターのT次長。その次長に対し、栗山氏は「畜流センターは赤字経営たい。『よかあんばいに5億4千万円入って来たぞって云った感触でね、懐に入れとっちゃ云わんばってん、どがん使うたか中ば見せれ』て云うたばってん『見せられん』て云うた」「ぬし達は5億円盗っ人たいてTに云うたっですたい」これに対し多野局長が「盗っ人した、そういう事はない」と資金の使途を説明している。

 畜流センター及びT次長に「ゼニ盗っ人」と云ったのは相手の人格侵害にならないのであろうか。これは録音の一部だが、栗山氏の強面振りがよく出ている場面である。この様な人物が「北口市議の発言に恐怖を感じた」とは、世の中女性が強くなりすぎか。



 他の面でも書いたが、市の倫理条例の改正にまで発展した北口和皇市議の“調印式”妨害事件は「全日本同和会」を名乗る“ペテン師”の陳述書に始まった。

 一回目の陳述書に対する市、市議会の反応は「人権侵害発言はなかった」である。所が二回目の陳述書、三回目の陳述書が出るに及んで議会運営委員会が動き始めた。そして、1月にもあった有力市議の暴言と併せて政治倫理条例を改正したのである。この条例改正について某自民党市議に「これで首を締むっとはあんた達じゃないのか」と聞くと「そん通りですたい」と答が返った。メディアが盛んに報道し、熊本市が慌てて設立した「市不当要求行為等防止対策会議」は一体何を調査するのであろうか。

 経営危機に追い込まれた畜産業者、ホルモン業者らの陳情を受けて、畜流センターと熊本市の間に立って市民でもある畜産業者の経営が成り立つ様に調整を行った北口市議。その過程で市の怠慢が表面化した為その是正を強く求めた事が不当要求に当たるのであろうか。メディアが報道しきらない自民党系の市議にこそ求められる案件ではないのか。元々市議は地域住民と行政を繋ぐ役割を担っている訳で、大なり、小なりの要望、要求を市職員に伝えているが、何処までが正常な要望活動で、何処からが不当要求になるのか、常識的に考えれば自ずとその境界は分かる筈。

 今回の食肉センター廃止に発した問題の根本は、明らかに市側の杜撰な計画にあったと云える。業者を軽視し、補助金を充分に出した畜流センターに対し、業者側の要望を伝える事をしなかった。補助金を出すに当たり、必要施設増設の青写真は出来ていたと思われるが、多野局長らの説明によると「大貫豚用ライン建設に3億円、規格豚ライン増設に2億円余」と大雑把である。当初の設計段階で当然組込まれていて当然の「冷蔵設備」も後から7千万円を追加する始末だ。熊本市が移転を考えていたのは、それまでの実績を基に日当たり屠畜数は310頭であった。市が「機能移転を完了した」とメディアに伝え、各メディアは一斉に報道したが、この時、大貫、規格豚両ラインとも完成していなかったのである。そこを衝かれた多野局長や、馬場食肉場長らは「畜流センター側が手作業で行えると云ったので機能移転は完了だ」と詭弁を弄している。何の事はない役人的発想で、3月31日の年度末廃止が実行出来たとする“実績作り”を行ったに過ぎないのである。

 通常「金は出すが口も出す」のが当然と思うが、何故か熊本市は畜流センター(経済連)に弱腰である。そこに、かつて小紙が報道した「上村幸男経済連会長(畜流センター社長)と西嶋熊本市副市長会談」の闇の存在を筆者は疑っている。その利益配分を巡って畜産業者らが不満を持ち、“上村会長下ろし”に動いた結果、加来新会長が誕生した。加来新会長は畜産については全くの素人。畜流センターの行く末が案じられる。



新聞報道信ずるに足るか
記者の理解度で記事は変化する
 去る7月24日付熊日の北口市議についての報道に違和感を覚えたので小紙も取材を行った。見出しは本欄に掲載している熊日紙をご覧頂くと分かると思う。白抜きの「北口市議了解せず見送り」の見出しは「事実でもあり、事実と異なる」と云えるものである。

 記事を要約すればリード部分にある通り「市が2014年に予算化し、着工を予定していた東区画図地区の農業関係の七つの工事が、市漁協組合長を務める北口和皇市議の事前の了解が得られなかったため、工事が見送られた」「市は地元農区からの要望を基に、14年度当初に5250万円を予算化、秋に着工し、同年度末に完成する予定だった」とし、工事による濁った水が無田川に流れ込む恐れがある事から漁協への事前説明を計画したが北口議員が応じなかったため「漁協の了解が得られないまま無理に進めるのは難しい」として予算を返上、工事が出来なかったというものだ。

 同地区は五農区から成っているが、この内の「大農区長」のI氏が実権を握っているのである。北口市議の後援者と云われるあのI氏である。農業用水路関係について北口議員は何の権限もない。北口議員が持っているのは通称無田川と呼ばれる川で、ここに工事による濁り水が流入する恐れがある為事前了承を市は得ようとした。しかし、五農区長の内このI氏が参加を拒否した為、連絡を受けた北口議員が「あの人が来ないで決めると何を云われるか分からない。五人が揃った所で話を聞きたい」と伝えた。

 区側としては、工事は農業用水使用がない稲刈り後から年度末を予定していたが、「時期がずれ込む」として自主的に判断し予算を返上した。確かに見出し通り“了解”はしなかったし、見送りも担当の東区役所が自主的に行っているのである。I氏に云わせれば「某農区が別の議員を利用して工事を多く取っているので同意出来ない」である。

 I氏のとばっちりが北口議員に及んだと云えるか。
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