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発行者:福島 宏

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市と畜産業者の"調印式"
北口市議は善意の仲介者
仲介放棄が"契約妨害"か
 去る6月25日付新聞各紙、テレビニュースは北口和皇市議が恰も「畜産業者と市の調印式」を妨害したかの如く、一斉に報道した。発端は6月1日付「熊本県家畜商組合理事長」の肩書きを持つ(他の肩書は本文中に記す)栗山重信氏が熊本市議会事務局長宛に提出した陳情書に始まる。これを受け同24日に開かれた市議会議会運営委員会で北口議員の発言について、調査委員会を設立するとして公表した。メディア各社はこれに飛びつき、陳述書と市の発表だけを鵜呑みにして、先の無責任極まりない報道を行ったのである。問われるべきは熊本市であり栗山氏である。

 熊本市食肉センター(中央区南熊本)は、昭和13年に市営と畜場として開設された。昭和40年4月、古くなった処理機能の改善と施設を改築すると共に、それまで直営であった施設運営を畜産業者熊本中央食肉市場(株)に委託した。この頃が同と畜場のピークで、年間処理頭数25万頭を前後していた。しかし、昭和60年に経済連が菊池市七城町に(株)熊本畜産流通センターを開設した為、県北の業者はそちらに流れた。以後牛馬豚農家などの減少で処理頭数の減少が続いた。加えて市の補助金を当てにした処理料金の低価格経営を続けた為毎年3〜4億円の赤字を垂れ流した。市食肉センター規格豚1200円、大貫〔大型〕豚1600円に対し、畜流センター、規格豚2500円、大貫豚4700円、九州平均、規格豚2100円、大貫豚3000円(各1頭当り)であった。

 市は平成18年食肉センターの廃止を決定、業者に通告した。業者らは現在地での改築を望んだが市は拒否。代替施設として七城町の畜流センターを挙げた。「同所では県南業者は距離が遠くなる」として業者らは反対したが、市は西嶋副市長を窓口に畜流センター上村幸男社長(県経済連会長)と交渉を開始した。市は当初牛馬豚を一体的に機能移転したいと交渉したが、上村社長が新施設への補助金増額を求めた為交渉は一旦中断(平成23年12月)した。一方で市は業者に対し平成15年頃「牛馬豚3種とも豊野に行く。費用24億円を負担する」と云っていたにも係わらず、平成23年には「牛馬を豊野に、豚は七城(畜流センター)にした」と一方的に通告した。困惑した業者が某代議士に陳情した為、代議士秘書が昨年4月7日市農水商工局長多野氏と平田次長に面会「畜流センターでは料金が高いので業者が困っている。何故豚だけが七城か」と質した所、多野局長は「環境アセスの問題もあり、住民にアンケートを取ったら『小動物(豚の事)は受入れられない』となったので畜流センターに決めた」と回答し、何ら進展はなかった。

 困った業者は農業に詳しい北口和皇市議に仲介を依頼しようと談合したものの、直接北口市議と接点がある業者が居なかった。その為、知人の養豚農家のI氏に紹介を依頼しようと、同年6月10日頃I氏を訪ねた。「北口議員を紹介してほしい」と栗山氏らに頼まれたI氏は数日後東区画図のアピス(温泉施設、レストラン)で、O会長、同社のO社長、N氏、O氏と栗山氏と会って事情を聞き、北口議員に紹介する事にした。

 数日後各氏を北口議員に紹介、業者らは「市が自分達を相手にせず一方的に話を進めている。市との話合いをセットしてくれないか」と懇願した。しかし北口議員は「これまで多くの議員が入っても解決出来ない大変な問題を今頃云って来られても困る」と断った。I氏らはその後連日北口議員に仲介を申し入れた為6月下旬頃、北口議員が折れ仲介を承諾した。北口議員が動き7月1日午前、熊本市議会特別応接室で市側(熊本市農水商工局多野局長、平田次長、馬場食肉センター場長)と業者側O会長、O専務、N社長、O社長、N社長の5名と、I氏、北口議員が参加、初めて市と業者、経済連の会合が実現した(それまで市側は業者を拒絶していた)。



陳述書
全日本同和会名が必要か
恩を仇で返した栗山会長
大仰な表現で北口議員を悪者に

 熊本市議会事務局長宛に「催促」とも思える「陳情書の提出について」と題した文書を平成27年6月1日付で提出した栗山重信なる人物。同年3月23日付で「大西一史市長、三島良之議長」宛に第1回の陳述書を提出している。同人の肩書きは「熊本市人権協議会 全日本同和会城南支部長、熊本市家畜商組合理事長、熊本中央食肉市場(株)取締役」となっている。

 この頓珍漢野郎の陳述書には「熊本市議会議員によるパワーハラスメントについて」と題した文書の冒頭「貴職におかれましては日頃より熊本市営食肉センターの廃止に伴う問題ではご尽力いただいておりますことに関係者一同心より感謝申し上げます。おかげをもちまして、豚業者は畜産流通センター(菊池市七城町)の利活用ができる運びとなりました」として以下北口和皇議員が調印式の場で暴言し、調印式が不調に終わったと結んでいる(詳細は2面で)。

 この男、何をとち狂ったのか、感謝すべきは北口議員であり、その仲を取り持ったI氏であるにも係わらず、殆ど無関係の市長、市議会議長に感謝とお礼を申し上げたのである。主目的は文末近くにある「報道機関立ち会いの下見解をお聴かせ下さい」にあると読んだ。

 この男が次に陳述書を提出したのは5月15日付、新議長に就任した満永寿博議長、同藤岡照代副議長宛で「熊本市議会議員によるパワーハラスメント(人権侵害)について」と題しているが、ほぼ前回と同様の内容である。違うのは、前日付で熊本市が前回の陳述書に対する回答を行ったらしく「他の調印式出席者からの人権侵害の申出がないので人権侵害に該当するものではない」「関係者の方々が不愉快な思いをされたことは残念である」等を挙げて反論。
 同業他者は「何も感じなかった」と云っていますぜ栗山さん。恩を仇で返すのは非人道的と云うのです。

 誇張した陳述書と、責任逃れを図る熊本市農水商工局長と、高田副市長の説明を鵜呑みにして裏付けも取らないまま新聞、テレビは北口和皇議員"恫喝"報道を行った。市側寄りのこれらの報道に知識人は眉を顰めている。



 この面でも書いたが、北口議員が畜産業者らから仲介の陳情を受け、市と業者間の食い違いを調整したのは市議として当然の行為であった。そして北口議員は市農水商工局長と話を詰め、業者らと市の話合いの場をやっと作ったのである。それまでの市(多野局長ら)の業者に対する態度は冷酷そのものであった。畜流センターに豚と畜機能を移転する費用として市は5億4千万円を支出したが、その資金について畜流センター側と何らの条件も付けず、豚業者とは契約書さえ交わしていない。畜流センターの業者に対する対応も冷たいもので"取引き条件"の緩和にも耳を籍さなかった。

  その為多くの業者が他県の処理施設に高い運賃をかけて持ち込む事態となった。何とか県内で豚の処理が「適正価格」で出来ないかと悩んだ末、何人かの代議士に陳情したのである。それでも畜流センター、熊本市は動かず、業者には「あくまで民間の取引きだけんあんた達が七城に行こうと、豊野に行くかは自由に選択して下さい」と高飛車な対応しかしなかった。市食肉センター廃止に伴う処理場確保は市の責任の上で行われるべき事案ではないのか。それまでも訳の分からない金を民間2業者に支出し続けた市とは思えない程の変わり身の早さである。まさか「これで長年悩まされ続けた同和事業と縁が切れる」と思った訳ではないと思うが、何人もの業者が「金は出した、あとは知らんという態度がありありと見えた。弱い立場の私達にはどうする事も出来なかった」と話す。強い者には弱いが、弱い者には強い役人根性が丸見えであった。



 畜産業者が再三話合いを求めても拒絶していた話合いは、北口和皇市議が仲介に動き平成26年7月1日に実現した。この日の出席者は1面の通りで、北口議員を紹介議員とした業者の陳情であった。話合いの内容(I氏が大西市長、三島議長宛提出している「栗山氏の文書に対する抗議文」に拠る)は

1、と畜料金の問題。
2、内臓、頭の持ち帰りの問題。
3、市の関与が不足したこと(機能移転が決まった後の交渉)。
4、もう1回協議すること。
5、畜流センターの視察を行う。

としており、その下に2行の枠があって「栗山さんが畜流センターの現場を4月10日に一人で見に行ったが、経済連から追い返され、見せてもらえなかったと憤慨していた」と記されている。又、「多野局長は畜流センターの受け入れ工事の確認は一度もしておらず、ビデオテープで確認したと云われたので、そのビデオテープを見せてほしいとお願いしたが、未だに多野局長が確認したとされるビデオテープは見せてもらえない。4月1日が畜流センターに機能移転したとしてテレビや新聞で報道されていたが、4月中旬まで機能移転の為の工事は完成しておらず、市民には事実が隠されていた。北口議員が対応してくれるまでは、経済連と熊本市。そして業者との三者の意見交換の場はただの一度もされていなかった」と記している。この日の多野局長の「施設の工事状況は見ていない」発言を受け、北口議員は「市民の税金が投入されているのにそれはおかしいのではないか」として各業者と共に「施設の視察」を行う事を提案、市側もそれに同意して8月1日に視察が行われた。市側は多野局長、平田次長、食肉センター馬場場長。業者側はO会長、N社長、O社長(O会長とは別の会社)、栗山氏。県経済連から2、3人とI氏、北口議員が畜産流通センター(菊池市七城町)を訪れた。その結果、豚と畜用に支出された筈の金の一部が入場する動物運搬車など車ごと消毒する設備に転用されていたり、搬入された豚を一時係留する"遊び場"も未完であった。

 以後も豚を扱う業者らは畜流センターの処理料金の引下げを訴えたが、畜流センターも熊本市も全く聞く耳持たずであった。業者は「せめて豚の内臓、頭は生で持ち帰る様にしてほしい」と多野局長らに訴えたが、多野局長は「民間取引きに行政は関知しない」と突き放した。畜流センターは元来農家から牛馬豚を買い取るシステムを採っており、処理した枝肉を農家が改めて買い取るとされる。これを畜産業者にも要求している為、一旦売る際の手数料1%、買い戻し代10円(s当り)で、合計1800円前後に上るのである。その上、頭部、内臓も蒸気(ボイル)を通さなければ渡されないという。生であれば500円だがボイルすると2、3千円に跳ね上るらしい。市農水商工局が作った平成25年12月付「食肉センターの廃止について」では「牛については平成25年8月1日から(株)中央食肉センターに移転した」とし、豚については「と畜料金については利用業者の理解が完全に得られていない部分もあるが、引き続き協議を進め、平成26年4月1日から機能移転を図る予定である」とはっきり謳っているにも拘わらず、以後業者との話合いを拒絶していた事は前述している。この時「26年から」と云っていたが、結果的に1年以上も延びて今年4月末頃施設は完成したらしいが、業者との詰めはまだ終っていない。調印式の不調は「頭、内臓物を生で引取れるか」がまだ未解決であり、大貫豚(大型豚のこと)のラインも「すぐ作る」と云っていながら規格用豚さえ完成していない。これらを「どうするか、あと1回協議をして調印したらどうか」の空気もあったのである。

  この日栗山氏らを北口議員に紹介したI氏が出席していたら違った展開になったと思われる。I氏が欠席したのは前述栗山氏への抗議文の中で「豚の機能移転資金が目的外に使われたこと。業者が納得する前に移転費用を支払ったこと。多野局長が馬場場長に自己の責任を押し付け、市幹部の責任逃れを図っている。担当の牧副市長に代り高田副市長が出席と分かったので欠席すると決めた」と記している。



調印不調の日 アピスで業者ら会合
栗山氏「調印出来なくて良かった」発言
 3月16日の調印式に、それまで畜産業者の窓口になっていた牧慎太郎副市長(総務省から出向)が出席しなかったのは北口議員を避けた為である。その原因は前年12月中旬の夜、牧副市長と北口議員がびぷれす広場で出合った。牧副市長は悪酔いしており、北口議員に「多野をいじめるな、頼む」と云って、北口議員の頸部を殴った。北口議員は病院に行き「全治5日間」の診断を取り、牧副市長に「謝ってくれ」と何度も云ったが牧副市長は完全に無視していた。そうした状況での調印式であった。出れば「北口議員に責められる」として代役に高田副市長を出したのではないかと勘繰る。

 調印式に於ける北口議員の"暴言"だが「大声を出し、書類を手に持ちテーブルを叩いた」のは出席者が語っている。その原因の一つは業者と北口議員を仲介したI氏の出席がなかった事である。別欄で記した様に、I氏は市の対応、自分が仲介しながら何らの進展がないままの調印式には出ても意味がないとして出席しなかったのである。その事を事前に北口議員に伝えるのが常識だが、I氏は「自分が出なくても調印式は行われる」と勝手に解釈していので連絡をしていなかった。

 「調印式に出てくれ」と馬場場長は連絡しており、栗山氏の陳情書の中に出て来るN氏も「3回I氏を誘った」と証言している。が、北口議員は自分の思い込みから(これが欠点)「I氏に連絡が行っていない」と解釈、馬場場長を始めN氏らに「何故連絡をしなかったのか。今日調印出来るのはI氏のお陰ではないか」と切れたのである。

 この時若し馬場場長が「出席する様に案内は致しましたが、I氏の御意向は『出席しない』と云う事でした」と説明していたら北口議員が切れる事はなかったのではないか。だからと云って選良である議員が簡単に切れていいとの理由にはならない。北口議員は冷静に対応すべきであった事は言を俟たない。それにしても熊本市の対応の不手際は目に余るものがある。一例を挙げる。平成26年6月に開かれた経済委員会の説明によれば「牛は平成25年7月末をもって廃止、8月1日から(株)中央食肉センターへ機能移転した。豚は平成26年3月末をもって廃止、4月1日から(株)熊本畜産流通センターへ機能移転した。移転当初は、料金問題から畜流センターでと畜を行う利用業者は僅かであったが、現在は料金問題についても合意形成が進み、利用業者の利用拡大が見込まれる」と虚偽の報告を行っている。本号で述べている様に畜流センターは約束した規格豚、大貫豚の設置はこの時未完成であり、今春4月中旬にやっと出来上がったのが実情ではないのか。3月16日の調印式についても、北口議員は「全てが不備だらけで業者との協議があと1回は必要」と述べ「試験と畜を行って問題点がないか確認してからでも契約は遅くない」(関係者談)とも語っているではないか。調印不調後、参加業者と栗山氏らはO会長経営のアピスに行って会合したが、その席上栗山氏は「調印が出来なくてよかった。畜流の云いなりになんかならんちゃよかっだけん」と発言している。その栗山氏が陳述書を出した背景に某市議の影を感じる。



悪意の栗山陳述書と市の説明鵜呑み
新聞、テレビ報道の出鱈目振り
 1面右下に新聞2社の北口議員の"罵声""パワハラ"報道の見出し部分を掲載した。他紙も似たものか(見ていない)。熊日の6月25日付第1報は北口議員の実名を伏せたが、朝日熊本版は実名報道。テレビは実名は伏せての報道ではなかったか。筆者はこの報道で初めて"事件"を知り北口議員に事実関係を確認しようとしたが留守電ばかりで連絡はつかなかった。仕方なく関係方面に手を回し、栗山氏の陳情書、市議会の動きなどの情報を収集に動いた。

 実は「北口議員が大問題を起こしている。選挙後表面化するだろう」と複数の議員から聞いていた。しかし、北口議員から何の話も伝わって来ないのでそのままにして情報収集は行わなかった。そして6月25日付の各社の報道である。「驚いた」というのが嘘偽りのない所である。

 各紙を読んで分かった事は報道のメインは北口議員の暴挙であり、その根拠は栗山重信氏の陳述書、調印式に出席した市側職員(多野局長他)と高田晋副市長のコメントであると読めた。栗山氏の陳述書を百%真実として受理し、それを元に市議会議会運営委員会では、市側が概ね事実関係を認め、北口議員が不当要求などなかったかの調査を開始する様求めた。

 6月24日の議運の結果公表により翌25日のマスコミの一斉報道となった訳だが、1社たりとも調印式に出席した他の畜産業者に当たっていないのは何故なのか。これを世間では「偏向報道」と云うのである。

 筆者は多くの業者に取材したが、栗山氏を除き誰一人北口議員を非難した者は居なかった。殆どの業者は「北口議員の働きでやっと市と対話が出来た」と感謝の言葉を述べたのである。調印式の場で「罵倒された」N氏でさえ、「その時はむかっとしたが、それまで親身に世話をしてくれたのが分かっていたので感謝の気持は今もある。その後の選挙でも全力で応援した」と語っている。これらの業者を全く取材せず、栗山という訳の分からん男の陳述書を頼りに報道に走ったのはマスメディアとして正しい行為であったのか問いたい。



 前頁から続くが、メディア各社は6月24日、熊本市議会議員運営委員会の結論を受けて「調印式北口市議が妨害」と一斉に報道した。

 熊日は北口議員の名を伏せ「女性議員」とし、報道内容も大筋では他紙と変りはなかった。しかし熊日の記事の中で数行だけ、他紙と異なる記事があった。その記事は「一方議運では調印式に欠席した関係者も陳述した『(センター利用には)解決されていない問題があり、調印すべきではなかった。議員(筆者注、北口氏の事)は問題解決に尽力していた』などと主張した」と記している。この記事は、I氏(先述)が経済委員会で陳述書について説明を終えて退出、I氏の後に事情説明を行う多野局長や馬場場長がどんな発言をするか、不安になったI氏がモニターを見ている時「待っていました」と云って近付いた熊日M記者が書いたものである。この時I氏は、平成26年6月17日付熊日の「アングル14」を持っていたので「これが真実ですよ」と見せたらM記者が「それは私が書いたものです」と云ったのでI氏も信頼し、自分の携帯番号を教えた。が、それ以後何の連絡もなく、6月28日、7月2日、同4日の報道がなされた。(取材班)と書かれた報道もあるので市政詰記者ら数人が動いていると思われるが、それにしてはお粗末な報道である。

 それに比べM記者が26年6月17日付「アングル14」で報じた記事、市と業者云い分を公正に掲せている。「熊本市食肉センター来春廃止」の横白抜見出しと、「豚処理移転も利用低迷」の右柱見出し。「5億4000万かけ畜流センターに 業者『料金高い』『調整不足』」と中横見出しで「熊本市食肉センター(中央区南熊本)の来年3月末の廃止に向け、市が約5億4000万円をかけ豚の解体処理機能を移転させた熊本畜産流通センター(菊池市七城町)の利用が低迷している。解体料金がこれまでより高いことなどが理由。市センターを利用していた食肉業者十数社のうち、2割程度にとどまっている」と横書リード。紙面の都合上以下概要を記す。

「市によると昨年度13社が市センターで約3万1千頭の豚を処理した。移行後の利用は2社で月平均200頭。利用頭数が多い大手業者は畜流センターを利用せず、輸送費が安い県外の処理施設を使っている。市センターの大型豚1頭の解体料金は約1700〜1800円だったが畜流センターは3860円。しかも、経済連などが出資する同センターは、JAなどを通して豚を仕入れて処理後の販売も手掛ける。自ら販売する食肉業者が処理後の枝肉を持ち帰る場合、1キロ当り10円の手数料を払うので合計すると5000円に膨らむ。業者の1人は『九州内の施設の平均3000円程度にならないか要望したが聞き入れてもらえなかった。機能移転を進めた市が責任を持って4月までに調整するべきであった』別の業者も『利用者が納得していないにもかかわらず、市は税金を投入した』と"調整不足"を指摘する。これに対して市は『市センターの廃止に向けて機能を確保することが食肉の安定供給や畜産振興のために重要だと判断して進めた』と強調」。別欄の「■ズーム」でも機能移転に至った経緯の概要を述べている。

 所が今回の"北口騒動"では、この中立的記事は何処へやら、熊本市に非がないと印象付ける記事に墮している。



北口市議・感情爆発で失点
 メディア各社は、6月25日に続いて26日、「市議会の満永寿博議長が大西一史市長に、市が立ち上げた『不当要求行為等防止対策会議』で今回の問題を調査する様に要請した」といった主旨の報道を行った。明らかに北口議員の"発言"を意識したものであるのは一目瞭然。市議会の会派を問わず北口議員に対し快く思っていない議員は多い。それは北口議員の情報収集能力が長け、多くの議員の不正、不当要求等の情報を握っているからである。これらの情報を北口議員は直接、間接的に追及したり、恩を着せたりする、ある意味正義感が強い。従って各議員にとっては煙たい存在である事は間違いない。そこで「この際北口を潰せ」といった動きがあっても不思議ではない。事実数人の議員が「北口辞任」に追い込む様、他の議員に働き掛けているのである。

 朝日6月26日熊本版でも「熊本市議の暴言問題」「不当要求調査を」「議長、市の防止対策協で」の見出し、市が設置した「協議会」を報道しているが、その中で「高田晋副市長が『この人選、場所、やり方を考えると通常の調印式スタイルではない。私も出席したことを反省している』と陳謝する場面もあった」と記している。筆者に云わせると「あんたなんかが首を突っ込める余地はなかったよ」である。前にも報道したが、畜流センターと豚のと畜を交渉中、「よく上村会長が西嶋副市長を訪れて2人だけで密談していた。何故担当職員を入れないのか」と疑問を呈した。この時、業者側の意向を充分聞き取って処理条件等を詰めた上できちんと"契約書"を交わして5億4000万円を支出していたら今回の問題が起きる事はなかった。

 前述したが、北口議員は栗山氏とO会長に頼まれ、それまで経済連や熊本市が業者との会談を拒否していた問題を仲介、3者の会合を成功させ、畜流センターを視察、問題点を暴き出した。今後の業者と畜流センターのトラブルを防ぐ、として契約書の作成まで漕ぎつけた言わば"功労者"である。所が肝心の"調印式"の場で先述の如く感情を爆発させてしまった。会場の声は北口議員の依頼で録音しているという。市はとっくに録音を起し文章化しているものと思われる。この録音を元に会場での発言は明白であろう。調印に至った経緯も精査の上厳正な判断を下す事と思う。そこで北口議員の非は非として、又市側の問題も公正に調査し非がなかったか検証される事を願っている。

 所で、ここで筆者と北口議員の関係について記す。北口氏と筆者を引き合わせたのは20年程前、全国紙の記者であった。記者が「福島さん、正義感の強い市議が居ますから会ってみませんか」と云われ紹介された。名刺交換したが北口氏はすぐに筆者を信用しなかった。市の中堅幹部に筆者の人物像を聞き、その人物が「福島は間違いのない男」と語ったので以後交流を持ち今日に至っており、北口氏に意見出来る数少ない一人と自認している。本号の記事は北口氏周辺と関係者の情報だけで書いた事を明言する。本人は精神的ダメージで入院中で対話が出来ないからである。
M記者は何故沈黙したか
市の失態擁護に走る熊日
 北口市議の"暴言"問題を報道した熊日の記事について書きたい事は多々あるが、本号紙面では書き尽せないので次号に回し、当面では6月28日付紙面について話す。
 右柱見出し「熊本市議"調印妨害"問題」横見出し「式開催も提案、催促」「押し切られた市『業務への影響も考慮』」で「女性市議が3月にあった食肉センターの機能移転に関連する調印式で強圧的言動で調印を妨害。市は当初調印式を予定していなかったが、市議の度重なる要請を受け開催を決定した」リード要旨のみ。「この市議は北口和皇議員(57)調印は、センターの機能移転先の民間食肉加工施設と、食肉業者と結ばれる予定であった。」中略。これは実態に程遠い。
 市(農水商工局農業政策課内「食肉処理施設プロジェクト」)が各畜産業者(3社)のニーズが違うとして個々に話合いは進めていたが契約(畜流センター)まで仲介する気はなかった。その事は「民々間の契約は夫々で行ってくれ」と突き放した事でも分る筈。北口議員が仲介して業者と経済連(畜流センター)、熊本市などと話が進んだ結果、業者は個々に契約してもよいと思う様になったのである。熊日記事「中略。業者側から依頼を受けた自分の後援者に頼まれてのことだったという。」本号が述べた様にこの後援者は栗山、O会長に頼まれて北口議員を紹介しただけである。この後援者が「北口議員に頼んだ」なんて嘘を書くなよ「熊本市政取材班」の皆さん。熊日記事「中略。市関係者は『民間同士の契約であり、もともと調印式は頭になかった。』中略」の記事に見るように、熊本市は「畜流センターと業者間の契約」と、元々突き放していたのである。業者の一人は「市費を投入しているのに市は仲介しない、『各業者で契約を結べ』は余りにも無責任ではないか」と語っているのを熊日記者はどう聞くのか。何故業者に取材せず記事を構成したのか筆者は疑問に感じる。市に阿るのもいい加減にしたら?。




 北口和皇市議を巡る各メディアの報道は"異常"と云える程偏向したものであった。「北口議員が何かやらかしている」のは3月議会前後に他の議員から耳にしていたが、本文にも書いたが北口議員から何の信号も受け取っていなかった。従って「大した問題ではないのだろう」と理解していたのである。6月25日の報道で事の流れを知り、北口議員に連絡を取ったが留守電が答えるばかりであった。市役所関係、議員等に当り畜産業者との係わり、陳述書を提出した栗山氏、同書に抗議するI氏の陳述書を入手して取材に動いた結果が本特集号となった。中央食肉センターに熊本市は多額の資金を投入したが、同センターの経理はズサン極りないと聞いている。「代表らはベンツを乗り回し景気がいいがその資金源がおかしい」と昨年捜査関係者から聞いていた。が、今回は畜流センターの高額と畜料に泣かされている業者と、何の条件も付けず5億4000万プラス9000万を支出した熊本市。栗山氏の陳述書と市の発表を鵜呑みに報道したメディアの疑問点を挙げた。書き残しは次号で報道する。前号の元北署長の報道はメディアや県警関係者で話題になった様だ。
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