熊本県民新聞 WEB版
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熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
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 前号に続き桜町地区再開発の愚を糾弾する。その前に平成8年頃から始まった「上通A地区市街地再開発事業」について述べる。17年前に始まったこの事業と、現在進められている桜町地区再開発事業が余りにも類似しているからである。当時通町筋を挟んで上通A地区と手取B地区の再開発が同時進行形で進んでいた。手取地区は鶴屋を中心とした準備組合。上通A地区は熊日を中心とした5組合員(権利床取得)と熊本市など3組合員(保留床取得)の8組合員からなる「上通A地区市街地再開発組合」が平成11年1月20日付で県から認可された。当初の計画では熊日本社跡地(名義所有者は昭和社)3,608m2と、財団法人肥後建極会(会長安部舜一熊日社長)4,343m2に民間地を加えた敷地合計8,300m2に、地下2階地上13階の複合ビルを建てるとしていた。本体工事約200億円だが熊本市は63億円(当初)を負担する事で工事に着工した。

熊本市が"現代美術館"として取得するのは3階フロアと4階の一部で、合計7,000m2を予定していた。所が設計上で500m2空床が出るので市が買ってくれと云われ最終的に7、500m2に変更、63億が70億に増加した。熊日側(といっても開発組合に対してだが)に国と市からの補助金20数億円が支払われる(第一種市街地再開発事業)ので、熊日の実質負担額は100億前後で済むのである。筆者は上通A地区再開発に猛反対し、本紙上で何度も疑惑を追及した。特に(財)建極会については戦中、戦後の一時期"幽霊法人"化していたので、その土地に複合ビルを建設するには大いなる疑問があった。その件はこれ以上述べないが疑惑の土地ではあった。市は最終的に80億円以上資金を投入、加えて地上権として50年間で20億、地代年間2,800万円、駐車場代21台分(1台月間3万円)、運営費年間3千万円となっている。MICEの遣り方は全く同一であり、市は厖大な税金を投入して業者を利し、得る物は微少である。





3月1日現在 総事業費500億円
熊本市負担(床取得)300億円
上に掲げたイメージ図は、桜町地区再開発事業完成時の物である。去る3月、熊本市が作製した「熊本市MICE施設整備基本計画(案)の別紙から引用した。ホテル、マンション、商業施設などが予定されている建築物の全体像であるが、見て分かる通り、熊本市がMICE施設として取得する区画が示されているが、位置としては余り好位置と云えない感を受ける。

同再開発は、上通A地区再開発と同様、都市開発法に基づく、第一種市街地再開発事業(補助金が多く、得易い)である。同事業は土地、建物の権利者が再開発建築物の区分所有権(権利床)に置き換える「権利変換」という手法を用いて建築物を整備する事業方法である(市の計画案から抜萃)。で事業者(熊本桜町再開発梶jは権利床以外に増床した分を保有床として床を売却する事で事業費を賄うことになる。保有床の取得予定者は、熊本市の他九州産交、マンション業者が予定されているが、300億(負担の土地代を含む)熊本市が、この再開事業ではキーマンとなるのは間違いない。更に国からの「社会資本整備総合交付金」約50億円、同交付金熊本市負担分約55億円の支出が見込まれる。これらに加え「高次都市施設」補助金20〜30億円が可能である。これらを併せると総額500億と概算されている再開事業で施行者(主体者)側の負担金は100億に満たない計算になる。前号で小紙は熊本市がMICE施設として取得する総額を350億と打ったのは、以上の計算からである。しかし、熊本市の担当部局では既に「30%の建築費アップを予想しているのである。建築費184億円の30%増で、建築費だけでも55億余を上積みしなくてはならない現状である。が、建設業者に聞くと「東日本災害復旧に加えて東京五輪が入った、現時点としても30%増位では済まない」と熊本市の見方の甘さを指摘した。

施行者側の設計スケジュールは、平成26年6月頃〜平成27年3月頃となっているが、これだけの大事業が「一年未満」では短期すぎるという見方が大勢を占めている。この期間内に熊本市が施行者側と綿密に打ち合わせ且つ希望通りに設計が進んでいるかを監修するのは無理があるのではないか。加えて熊本市が大型事業を外部業者に"丸投げ"する事案の増加で市職員の技術力が低下しており、大手企業の技術者に太刀打ち出来ないのは火を見るよりも明らかである。
以上述べた様に高額な税金を投入してまでMICE施設を作る必然性を筆者は認めないが、欲に駆られた連中は大賛成している。



 熊本県下の有識者の多くが常々口にしているのは「蒲島知事と幸山市長では熊本の経済の浮揚はない」という言葉である。蒲島知事の場合、新幹線全線開通を記念して民間会社に作らせた「くまモン」の人気が沸騰、県の試算で「千数百億円の経済効果があった」と自画自賛した。確かにPR代に換算すればある程度の金額に達すると思われるが「経済効果は身近に感じない」と云う経済人が殆どである。初代政令市長の幸山さんは、と云えば就任時に「無駄な出費になるから見直す」と宣った本丸御殿だが、落成してみると熊本城の入園者が急増して220万人が訪れた。この年も「中心街への人の流れ」は見られなかった。後に文化財としての城郭を損ねていると文化庁指摘される「城彩苑」が出来た時も「熊本城―城彩苑―市中心商店街」に人の流れが出来ると大見栄を張ったが、現状はご覧の通りの惨状だ。次に幸山市長が打ち上げたのが「2核3モール」計画である。桜町地区再開発への理屈付けだろうが、2核とは鶴屋を中心とした通町一帯と再開発後の桜町地区を指す。3モールは、上通、下通、新市街のアーケード街である。

 幸山市長は「熊本城を核として市街地の活性化を図りたい」とバカの一つ覚えの様に口にするが、観光客の心理、熊本城を中心とした地形に思いが至らないのは何故か。熊本城の良さは天守閣と武者返しと呼ばれる石垣であろうが、頬当御門から入れば石垣を愛でながら天守閣に至る。観光客はこれで充分満足するのである。武者返しは、不開門を出た一帯から高い石垣を見上げて実感が湧くと思うが、観光客にそんな余裕はない。城彩苑を造る時、幸山市長以下市の幹部は「頬当御門から入った観光客を天守閣、本丸御殿だけに終わらせず、櫨方門に誘導して城彩苑に呼び込み、更に中心商店街に回遊してもらう」と夢のプランを公表した。単に城彩苑を造る為の方便でしかなかったのは、その後の客の流れを見れば歴然としている。原因の一つが前に挙げた地形である。二の丸広場駐車場からの客(主に団体客)は90〜120分かけて天守閣、本丸御殿(入園者の40%前後か)を回って二の丸駐車場に戻って次の観光地に向かっている。中心商店街への回遊どころか城彩苑に流れる客(主に地元とマイカー利用者)も実質20数%ではないのか。何の変哲、特徴もない通町一帯と上、下通りと新市街に観光客を吸引する魅力は皆無と云っても過言ではないだろう。熊本城の欠点はその広大さにあるのではないか。広大さ故に表(手取、通町一帯)と裏(新町、段山一帯)が分断された形となって現在の中心商店街が形成されたのではないか。
「桜町地区再開発で中心商店街の賑わい作り」はMICE施設を造る為の詐術でしかないと断じる。幸山バッファローの暴走を許してはならない。



桜町再開発
基本計画策定日建設計に
花畑再開発うなぎ逃した大成
 桜町再開発事業の基本となる「基本設計」について、熊本桜町再開発準備会社は本年3月3日公募を開始したが、書類の不備を理由に一時公募を中止。2週間後の3月17日に公募を再開した。プロポーザル方式で、基本設計から実施設計まで同一会社が担当する。「公募」であったが、応札したのは鞄建設計を頭にした地場大手の椛セ宏設計事務所の2社JVであった。日建は確かに日本に於けるマンモス設計会社であるが、他にも高度の技術を持った設計会社は10指に余る。それが何故参加しなかったのか、答えは簡単で「早くから日建と決まっている」と見たからに外ならない。開発準備会社は3月3日に公募を始め、途中委託内容を変更して再公募、日建、太宏JVが落札したと前述した。熊日が以上の案件を報道しているが、熊日は平成23年4月13日付紙面で「熊本市桜町の再開発計画 日建設計と契約へ」の縦見出しの下に「九州産交HD」の小見出しで報道している。

 記事は「九州産業交通ホールディングス(HD、熊本市)は12日、同市桜町の熊本交通センター一帯の再開発計画で、施設配置、構成などの基本策定を担う委託業者を日建設計(東京)に内定したことを明かにした。今月中に契約を結ぶ」として以下日建に決定した流れと業容を記述している。この時の事業発注者が九州産交もおかしい。平成20年6月16日に熊本桜町再開発準備会社(鳥井一浩社長)が設立されていたにも拘わらず、何故産交単体で委託業者を決めようとしたのであろうか。次に花畑地区再開発の挫折で割を食ったのがゼネコンの大成建設である。大成建設(九州支店)は、平成21年3月、花畑地区再開発事業で地権者などで作る「花畑地区開発協議会」(会長=島田俊郎・雇用促進事業会社長)と事業協力の協定を結んだ。大成建設は、「商業施設の誘致や準備資金など事業計画づくりを手伝う」「同協議会によると、地場地権者だけでは大型の商業施設など入居者確保や資金に不安があることから、大手ゼネコンなどを対象に協力会社を募集していた」(以上熊日平成21年3月7日付紙面から引用。)当初の計画は空中分解。で、大成関係者は「これまで2億円以上注ぎ込んだ、桜町再開発に入れてくれ」と泣き言を云っているらしい。



 去る3月市議会で一部の市議が指摘したMICE事業への疑問は以下の通り。「市が現在推めているMICEは、設計、施行を民間業者に任せ、市は保有床を購入するとしている。本来公共施設を作る際は、公共部分の設計、施行までを熊本市が公募して入札するのが当然であるが、何故民間任せにしているのか。議会は勿論市民には何も報らせようとしていない。5月29日付熊日は『一社応募で決定した』と報じたが、公共性の強い事業で一社応札はおかしい。議会も市民の代表としてチェック機能が果たされていない。人手不足、資材高騰で最低25%以上の予算アップの可能性がある。別に現在表面化している金額の外に、25年毎に83億円大規模修繕費が必要だ。別に借金して50億の補助金を出す。会議場が足りないのなら、何故産文会館を生かさなかったのか。市民会館も数年前の改修の際300席減じている。一貫性がないのが幸山市政だ。

 昨年、熊本市で1万3千人規模の糖尿病学会が開かれた。会場は分散したが運営に支障はなかった。『5千人規模でも現状で充分消化出来る。仮に3千人収容のホールを作っても、それ以上の参加がある集会は分散せざるを得ない』」として、MICE事業の不用論と不透明な建設経緯が追及されている。某市議は「ある会派の議員が選定過程の不透明さと、プロポーザルの件について質問しようと2月28日金曜の夕方資料配付を依頼したが、その夜中に公募中止を決定、3日の発表になった」と語る。所で、日建、太宏JVに設計業務委託が不透明な中で決定したが、その後にホテル運営会社に「リゾートトラスト」、マンション部分は住友不動産に事業者として優先候補を決定した。残るは本体の建設で、大手ゼネコンの名前が挙る中、筆者は「鹿島最有力」と見る。理由はエイチ・アイ・エス(澤田秀雄会長)のメインバンクが三井住友銀行、同信託であること。現場主義を貫くワンマンであり、桜町再開発事業も澤田会長の意向で動いている(準備会社鳥井社長、産交HD矢田社長に決定権はない)と云われ、「事業は東京で、又は福岡で決められて降されている」と事情通は語る。日建も住友土地工務店鰍ェ戦後の財閥解体で日本建設産業鰍ノ商号変更。昭和45年に現在の鞄建設計に商号変更した日本最大の設計会社である(以上「ウキペディア」による)。メインバンクは三井住友。マンション業務を請負う住友不動産はその名の通り三井住友系の系列。ホテルのリゾートトラストも株の引受会社が三井住友銀行、信託である。本体本命視されている鹿島もメインバンクは三井住友、信託であれば、鹿島が受注して当然と見る同業が居ても不思議はない。



本体建設・何社JVか
 熊本桜町再開発鰍ェ計画している再開発ビルは地下1階地上15階建(一部5階建)とバスターミナル等である。本体工事費400億円とも見られる「熊本では最初にして最後の巨大プロジェクト」は果たして計画通り完成するのか。市などの資料では「平成27年春に解体工事を始め、平成30年春の完成」を謳う。熊本市は相手任せで「MICE施設の設計は本市が実施するものではなく、再開発事業者の施行者がMICE施設を含む桜町再開発全体の設計を行うものである。本業務委託は、運営側及び利用者側にとって使い勝手の良い施設となるよう設計内容を監修することを目的としているが、施行者側が予定している"設計スケジュール(H26・6頃〜H27・3頃)"が短期間であり、設計の進捗に合わせた迅速な対応が必要になる」と準備会社に追従した説明を行っている。これで、果して市が計画した通りの施設が出来るのかと思うが、市議会は一部会派の市議ら数人を除いて「MICE」大賛成である。「お零れ」か「濡れ手で粟」かは分からないが、ゼネコンの「地元対策費」を期待しての事であろう。所で、資金面とは別に資材、人手不足の心配はないのか。地元大手の某AI建設会社の社長曰く「県内の業者は充分な手持ち事業を抱えている。ゼネコンとJVを組むにしてもよほど良い条件でない限り応じないだろう。頭となるゼネコンは苦労するのではないか」と語っている。



危機感乏しい熊本経済界
進む中心繁華街の衰退
 別項でも書いたが、幸山市長は2核3モールで熊本中心商店街の発展を図る、と常々口にしているがそれは可能か。筆者は経済に精通している訳でもなく経済学にも疎い。あるのは、70年の人生経験と、平均的市民感覚を持つ人間と思っている。その筆者が熊本市中心街の衰退を身近に感じているのである。

 先ず現在の上、下通り商店街だ。上通りには並木通り、上乃裏通りも入るだろう。店舗が入居するビルは大抵2階までを物販フロアーとしているが、この10年程、2階は殆ど空室だ。1階もシャッターの下りている店が何店もある。その多くが強欲オーナー所有のビルではあるが、新規開店が少ないのも事実だ。上乃裏通りなど1年に2度3度と経営者と業態が変わる店が多い。市内一番の賑わいと云われるのが鶴屋を中心にした通町一帯(幸山市長が謂う所の1核)である。通町から新市街までのアーケード街は先ず先ず健闘しているが、業態の交替は激しく、最近はカラオケ店、メガネ店、携帯販売店などが目立つ。かつての紳士、婦人服などの専門店は殆ど消えている。賑わうのは午後7時まで。以後は下通り周辺の一杯飲み屋、居酒屋目当ての客しか通らない。新市街は道路幅の広さが逆効果となって店舗への親密感が湧かない。この上、下通り、新市街のアーケード街が幸山市長が謂う所の3モールである。

 そして市電通り、旧産文横を通って広い市道を渡ってやっと県民百貨店に着く。地下は交通センター地下街へと続くが、平日の人通りは少ない。この一帯が再開発されるのである。

 地下1階から3階までを商業施設(80〜90店舗か)で、4階にシネコンとレストラン街が計画されているらしい(2核)。県民百貨店は再開発後のビルに入居権があり、松本社長はそれを期待した。が、澤田会長には端からその気はなく(某大手小売業者を誘致するとの話もある)売場面積を現行より1/3に床面積縮小案を提示して譲らず、県民百貨店は余儀なく解散を株主総会で決めた。交通センター内の約77店舗は10数年程前の借地借家法の改正で貸主が有利になった時更改を迫られて応じ(同仁堂だけは拒否)た為、云われるままに退去せざるを得ない。新施設には優先して入居も可能というが、何倍にもなる敷金、賃料を払える経営者は少ないと云われる。現在営業中の各店舗は来春までに退去せざるを得ないと云われるが、立ち退き料は期待出来ないらしい。これらの店舗に対し、熊本市が救済策に動いているとは寡聞にして知らない。県民百貨店に対する補償金は今後の交渉を俟たなければ分からないが「補償金もある意味市民の税金が使われる」とは関係者。と云うのは、一旦熊本市が支払った金の使途は産交HD(準備会社)の物になるので何に遣うかは受け取った側の裁量に委ねられるのである。桜町再開発で人の流れが通町筋まで潤す事は有り得ないが、では桜町地区が繁栄するかと云えば、それにも疑問符がつく。MICEで連日イベントがある訳ではなく、集客力は期待出来ない。マンション、ホテル人口数百人、域外からの訪問者は未知数だが、多くの客を集めるだけの施設となれるかどうか。仮に桜町に客が集まれば、あと一核の通町一帯の客足は落ちるであろう。

 熊本市周辺人口百万人と云われるが、2核3モール全てが潤う程の経済力はないのである。加えて、JR熊本駅にJR九州が13階建の集客施設の建設を発表した。同社の石川進会長の講演を聞いた時、石川会長は「熊本駅前に今以上の施設は無理だ」とやんわり駅前の発展性がないと否定した。それが何故か唐池社長は無視して新施設案を公表したのか。鉄道部分の経営に将来性が期待出来ず、鹿児島、博多駅ビル再開発での成功を熊本駅にも、と思ったのであれば環境無視と云わざるを得ない。その唐池社長は突然会長に退き、鉄道部門生え抜きの青柳俊彦氏を後任社長に据えた。これで熊本駅〇番ホームの活用に変化が出る可能性も考えられる。又、平成28年には島町地区の元農試跡にイオンタウンが計画されている。JR新駅開業を睨んでの開業だが、熊本駅前再開発との整合性はどうなるのか。熊本駅、桜町、通町で客の争奪戦勃発となるのではないか。



 幸山政史氏が県議2期目の末、深く静かに潜航して三角市長陣営を油断させ、突如立候補して三角3選を阻止した。その際、幸山陣営が配付したチラシの1枚を前号本面に掲げた。「市政刷新」の文字が嫌に大きい。

 市長当選後の人事異動(幹部)はどこから手を着けていいか分からず、市OB氏に泣きついた。そのOB氏は正義感もあって公正なアドバイスを行った。それでやっと第一次幸山内閣ではなかった幸山体制がスタート出来たのである。そのOB氏、「私は池田由加利の異動まではアドバイスはせんだったばってん」とは云わなかった。何度も書いたが、幸山市長は素早く秘書係長に池田を持って来たのである。この時2人の関係は"お互いの兄が熊日の記者で以前から知り合いであった"事から、県議時代の幸山と池田は面識があった様である。

 左上の小紙平成21年1月号で不倫特集第2弾として報じたものだが。早朝幸山邸に迎えに来た公用車後席に乗り込む幸山市長と公用車に同乗して来た池田が玄関口まで幸山を見送った妻と何言か話している場面である。日時は平成12年2月4日午前7時21分。この写真を撮った動機は、幸山が前年12月に新市長に就任して間もなく某新聞に「バスで通勤する幸山市長」と題してバス内の幸山の写真を載せ、幸山市長のコメントとして「週に1、2回はバス通勤して市民と触れ合いたい」とあった。それから1カ月程して市の幹部に「まだ幸山市長はバス通勤を続けているのですか」と聞くと「いえいえ、あれは2、3週間続いたですかねえ、今は毎日公用車です」の言を聞いたので、その実態を報道しようとして撮ったもので、この時幸山と池田の不倫の噂は流れていなかったのである。"2人がいつ結ばれた"かは不明だが、その後異例と云われる池田の秘書課在職5年の終わりの始まりの時の写真である。

 この写真を撮った翌月号の小紙は「幸山市長は口先だけの男。朝の出勤に出迎えの秘書は必要か。秘書は家庭があり夫も子供も居る。早出手当ての無駄遣い」と報道した。幸山が池田を一泊出張に随行させたのが、この写真を撮った5カ月後の7月16〜17日であった。この時当然2人は"男女の仲"であったと思われるが、以後も毎朝池田は公用車で幸山邸に行き、恐らくその度に幸山夫人と言葉を交わしていたと思われる。厚顔無恥は彼女の為にある?。

 本紙の初報道が前月号掲載の平成20年10月号であるが、この報道で2人の不倫を知った幸山夫人は、毎日顔を合わせ言葉を交わしていた秘書の女が自分の夫と数年間不倫関係にあったと知った時の気持は、察して余りある。この頃の池田の収入は残業代を含め月額100万円を超えていた事が後に判明している。当選後、「市議の口利きを根絶する」として関係部署に指示、口利き市議名を公表した。それに対し小紙は幸山が県議時代に臨時職員の採用や、建設事業での口利きを曝露した。"人の七難は見ゆれどわが十難は見えず"の類だ。初出馬の時の選挙戦では「口利き、箱物造りの市政」と批判したが、その悪弊を踏襲しようとしているのが自称「清潔な政治家、市政の透明化を図った」幸山政史市長であると云ったら云い過ぎか。



市民団体
小紙W不倫報道で監査請求
監査委員・曖昧線引きで却下
 小紙が、幸山市長と秘書の池田由加利係長が不倫関係にある、と曝いた報道に基づき、熊本市民団体が新たな資料を添え、平成21年4月熊本市監査委員会に監査請求を行った。「熊本市長に関する措置請求の要旨」は「2003年7月から2007年12月にかけて行われた幸山市長の出張と秘書随行のうち、別紙記載のケースについては正当な理由がないので、不当な公金の支出に該当する。あわせて朝から自宅への出迎えは運転手以外は必要性がなく、そのための秘書の残業代は不当な支出にあたる。よって、その経費の返還を求める監査請求」としている。請求の理由として「幸山市長は2002(平成14)年12月に38歳で熊本市長に就任すると同時に、池田由加利氏を秘書係長に任命した。その後、2008年4月に池田氏が子育て支援課々長補佐になるまでの間、市長の市外への出張に池田係長(秘書課長補佐の時期も含め)が47回随行(23回は宿泊、24回は日帰り)した。他都市を見ても、宿泊を伴う出張に女性秘書、ましてや家庭を持つ女性が単独で毎月のようにくりかえし随行するような例は見られない。中略。

 熊本市で市長の宿泊を伴う出張に特定の女性秘書が繰り返し随行する形になったのは、幸山市長が就任し、秘書係長に女性を任命した以降であり、それ以前には無かった(筆者注・元市長の田尻靖幹がおかぽんこと、岡元を大阪出張に同行した事がある)。中略。わけても幸山市長は、前三角市政の交際費や食糧費のムダ使いを厳しく批判して市民の共感を得て市長に当選しただけに自らを律することは市民への公約でもあったはずであり、責任は大きいといえる。」以下略。この請求に対し、熊本市監査委員会は「監査請求の期間が過ぎている」との理由で門前払いした。監査請求は「事実を知った時から1年以内」としている。しかし請求者は小紙の「W不倫」報道で事実を知った半年後の請求であり、この1年以内に該当したと思うが、前記の様に受理しなかった。その後住民訴訟を行ったら又違った結果になったのではないかとも思えるのだが…。

 小紙の報道により、平成21年3月議会で共産党の上野議員、6月議会で自由会派の北口議員が「熊本市政治倫理条例第3条第4項『市民全体の代表者として、その品位と名誉を害するような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑をもたれる恐れのある行為をしないこと』に反する」として幸山市長を追及した。だが、市議会の大半を占める自民党市議の中から、幸山擁護の野次が飛ぶなどして再三質問が中断した。この自民党市議連中は、平成18年の幸山再選の市長選で「有力候補」であった佐藤達三の「全面支援」を謳いながら途中で横を向いてしまった経緯がある。強力ライバル佐藤を担いだ自民党市議団に脅威を感じた幸山の父繁信(元県連幹事長)が"対策"を講じたとは現職市議の何人かから聞いた。お陰で幸山はWスコアで快勝。3期目は自民党が幸山支持に回り、幸山は独走状態であった。小紙の不倫報道、何故か当時の福岡市長が県民新聞を所持「この問題が福岡で報道されていたら現在の私はない」と訪れた某議員に語ったと後で聞いた。(敬称略)



 熊本市の赤字財政が膨らむ大事業を簡単に市長の一存で決めていいものか多くの市民に問いたい。市議会の承認は後付けであり、当初は多くの市議が反対していた案件である。幸山政史市長がゴリ押しで推めている桜町再開発だが、原点は「総務省から出向していた寺崎秀俊前副市長が遺していった」と事情通が話す。寺崎氏は総務省に帰省後、現在は沖縄に居るが、ここから幸山市長をリモートコントロールでもしているのか。同時に入れ替えた市生え抜きの西島副市長の後任に田晋企画財政局長を充てた。当然MICEを見据えての人事であった。

 田氏は、企画課一筋に局長まで昇り詰めた幸山市長の忠実な実践者だが、それだけに幸山市長の裏の顔も知っているが、それを口外する事はない。小紙が願うのは幸山4選阻止だけである。教条主義者と云ってもよい程の一徹さがあったが、3期目で大分汚れが目立つ様になった。一方恩恵を受ける九産交HDの宗主はHISの澤田秀雄氏。国内だけではなく、海外でもホテル経営、旅行会社の拡張と手を拡げている。今や「時流に乗った事業家」といったイメージが強いが、計算高い男としても陰口の対象となっている。佐世保ハウステンボスを5年で再建した手腕が高く評価されている。反面、モンゴルの銀行を買収して大儲けし、同地で資源開発、観光事業に着手したと聞く。又、北朝鮮とのルート作りにも熱心に動いていると云われ、先頃世間を騒がせた東京・朝鮮会館買収でも名前が取沙汰された。こんな大物に幸山市長が対等に事業を進める事が出来るか不安が残る。
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