熊本県民新聞 WEB版
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■ 発 行 所 ■
〒861-8034
熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
FAX:096-234-9883


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組織は民間団体だが
会費は各署総務課(係)長が管理運用
年間数百万~2~3千万前後か
 熊本県警察官友の会の会費が、 本来の目的以外に遣われている事が本紙の調査で判明した。
 警察官友の会は東京に本部を置く 「全国警察官友の会」 を頂点に都道府県単位に設立されている民間の警察官支援組織である。 名称は、 本県の様に県名を冠した 「○○県警察官友の会」 の他、 福岡県警に見る様に 「福岡県警を激励する会」 等があり、 統一された名称ではない。 しかし、 県警本部内に会の事務局を置き、 各所轄署内に支部がある。

 会計は所轄署の総務課 (小さい署では係) 長が管理、 運用しているが、 指示は副署長が行う。 会費の収入の際の領収書は総務の職員が行う様だが、 支出については副署長―担当課(係)長ラインで行われる。 従って費目及び支出に係わる領収書の多くは副署長が書くが、 署によっては担当課(係)長が書く署もある。 副署長は、 当然署長からの指示、 要求で金を引出している訳だが、 担当課(係)長から副署長に渡された以後の金の使途を知る者は居ない。 小さい警察署でも一回当り5万円~20万円、 大きい署であれば10万~30万円の支出があると見られている。 これら金銭の全てが交際費に使用されているだけとは限らない。 部下達の慰労や、 冠婚葬祭、 招待された際の金一封になっているのは容易に想像出来るが、 署長に渡った金の領収書は不用なのである。

 本面にある入出金台帳は、 某年の某署の物である。 提供者が特定されない様に墨で消している中で 「激励、 助成」 と書き込んだ各5万円がそれに当る。 他の支出については支払先の領収書が添付されている。 この他、 各武術大会、 災害出動、 殺人、 強盗事件の本部設定時や、 警衛警備本部等への激励金が支出されている。 警察学校入学、 卒業記念品代、 各大会優勝者へのトロフィと記念品、 永年勤続退職者の記念品代等もある。 これらは、 別掲の友の会々則に謳われた範囲に入って問題はない。 年1回行われる 「武術大会」 は、 別に募金を行い、 少しは部員も潤うが、 かなりの金額の使途が不明という。

 次に収入であるが、 これは友の会に入会した個人法人の会費及び企業からの寄付金がある。 会費は一率ではなく、 個人6千円~1万円。 法人は5万円が相場と云われる。 県内23署で集められたこれら会費の中から数%が県警本部内に在る 「熊本県警察官友の会」 に上納される。 友の会の会長は民間有識者が無報酬で務める。 現在は中山峰男崇城大学学長で、 今春前会長の中尾保徳鶴屋相談役から引継いだ。 本部事務局長は県警警視クラスの天下りコースで、 現在は本渡署長を勇退した中尾憲史氏が就任、 年俸は凡そ400万円と云われる。 その前は教養課長から天下った中山氏が2、 3年務め、 鶴屋に転職している。 事務局長といっても何もする事はないと云われる。

 年1回行われる監査も形式的に終っている。 会計帳簿は副署長、 担当課(係)長が異動の際処分される。 従って本紙が入手している数冊は貴重である。 友の会会員のメリットは軽度の交通違反などを見逃してもらっていたらしいが、 十数年前から出来なくなり、 個人法人とも減少している。 かつて署長らの交際費は 「交通安全協会」 から出ていたが国会で問題となって中断。 以後友の会会費に頼って現在に及んでいる。




政府 ・警察予算配分の無理解
警察官友の会 第一次安保騒乱で誕生
 警察官友の会は以下の経緯を経て設立された。 日米安全保障条約改定を翌年に控えた昭和34年頃から総評、 全学連を中心に 「安保改定反対」 闘争が盛り上がった。 所謂第一次安保闘争である。 改定年の昭和35年、 闘争は最高潮に達し、 全国各地でデモが連日行われ、 日本は恰も 「革命前夜」 の情況を呈していた。 この時、 デモ隊に立向ったのが全国の警察官である。 中でも機動隊員は過激派と対峙、 負傷は当然、 命さえ落す隊員も居たのである。 中でも最強を誇ったのが、 警視庁第四機動隊、 通称 「華の四機」 であった。 同隊は常に過激派の闘争現場に派遣され、 昼夜の区別なく職務に当った。 しかし、 国の予算は限られており 「時間外手当」 は一定額で打切られ、 現場の食事も粗末を極めた。 この実態を知った東京の経財界人、 文化人らが発起人となって支援組織が作られた。 支援者が増加した為 「きちんとした名前をつけよう」 となって 「警察官友の会」 が誕生した。 昭和35年8月頃と云われる。 この年の6月、 安保改定は自然成立、 それを見て岸内閣は辞職した。 その後も過激派学生による成田闘争などが続いた為、 東京に近い埼玉、 千葉に同様の組織が作られ数年をかけて全国に友の会が組織されたのである。

 昭和45年第二次安保闘争、 自衛隊沖縄派遣闘争までは友の会設立の主旨は生かされ、 第一線で闘う警察官の励みとなったのは間違いない。 しかし、学生運動が急速に萎み、世情が落ちついた後も組織は温存されて今日を迎えた訳だが、 前欄で述べた様に 「目的外」 の使途が増加したのである。 前にも一寸触れたが、 友の会の前は 「交通安全協会」 からのキックバック?が主な収入源で金額もデカかった (県警OB談)。 が、 免許更新時に恰も義務の様な協会費徴収方法が問題になった。 加えて全国の運転免許センターで更新の講習資料として配付される冊子が随契で特定業者に高く発注していた事などが発覚した。 これを受けて平成18年3月 「規制改革、 民間開放推進三カ年計画」 を閣議決定。 警察庁から各都道府県に指導通達がなされた。 以後免許更新時に 「協会入会費は任意」 と表示される様になって入会者は激減した。 会費の多くは協会職員 (県警OBが以上占めている) の給与に消えていた。 協会から各警察署などには 「指導料?」 等の名目で会費の一部が流れていたが、 平成18年を境にこれがなくなり、 変って友の会が頼られている。

某署の友の会金銭出納帳  



予想はほぼ的中
五輪金メダル獲得
ロンドン五輪で各国が獲得する金メダル数について、米大手金融機関のゴールドマン・サックス (GS) が予想していた。 7月20日付産経新聞掲載記事でGSは、金メダルの獲得数はその国の経済、政治状況と強い因果関係があると指摘。 経済成長力指標や、開催国かどうかや人口等を条件に計算して過去の大会を分析した所、メダル獲得状況と算出結果が極めて近い事が分かったという。 金メダル獲得のGS予想は1位米国の37個、2位中国33個、3位英国30個、4位ロシア25個、5位オーストラリア15個、6位以下を略して11位に日本8個であった。 結果は米国46、中国38、英国29、ロシア24、オーストラリアは大きくはずれて7個。 日本、ロシア、英国はわずか1個の差でしかなかった。 中でも日本については前回8位から11位に順位を落とすとしたが見事的中している。 今後はスポーツに経済学も必要か。 所で日本期待の女子体操は8位に終わったが、直後のインタビューで田中理恵選手が笑顔で 「結果はどうであれ楽しく出来たので良かったと思います」 と答えたのには驚いた。 以下の2人も同じ答え。 負け惜しみかもしれないが、我々国民はあんた達を楽しませる為に送り出しているのではないのです。 くれぐれも誤解なきよう。 マイクを向けたNHKのアナも 「決勝に入られてよかったと思います」 と持ち上げていたのも鼻白んだ。 次はメダリストのメダル噛みゼスチャー。 現場記者らの要求に応えたと思うが、数人がメダルを噛んで見せた。 バッカじゃないの、メダルは煎餅ではありません。


プロゴルファーの父
若い男を生け捕る
女子プロゴルファーの父が娘 (ゴルファーの妹) に大麻を吸わせたとして、大麻を売りつけた若い男性をヤクザを使って拉致、日本刀を抜いて脅したという。 男性は某署に駆け込んだが、警察は父親らから事情聴取しただけで立件しなかったという 「署長が特別配慮した様だ」 とは署員の話。



タレント志村けん
キャバクラ嬢と昵懇
  志村けんが南阿蘇村の猿まわし劇場のエテ公との交流番組作製で月に1、2回熊本を訪れているが、志村が来熊して泊まるのが熊本駅に聳える高級マンション。 高層部の一戸を購入していると云われ、ここに高級キャバクラ 「A」 のトップ嬢を招くとか。 キャバクラ嬢手作り料理で肥後の味を楽しんでいるという。



1億5千万円盗難
被害者はソープ経営
  熊本市西区内に居住の女性社長宅から1億5千万円の現金が盗まれた事件で、熊本南署は社長と遠縁の男ら2人を逮捕、現金も高森町の山中から発見された。 女性社長は熊本市中央街でソープランド 「NM」 を営んでおり、熊本屈指の高級店としても知られている。 この業界でまともに納税申告するバカは居ないと云われ、女社長が高額な現ナマを所有していたのも納得と云った所か。 この女社長にとって1億や2億は小遣いの内と云われるが、今回の事件で国税が入るのは間違いなしとは関係者の話。



勉強不足が目立つ
テレビ・局アナ達
 この数年テレビニュースのアナウンサーの誤読?や不適切な言葉が耳につく。 先ずNHK熊本。 5月18日20時45分のローカルニュースで阿蘇火口の報道で 「火山ガスが炎のように見える火焔現象が見えます」 と。 ガスが炎の様に見えるのではなく燃えているから火焔となっている筈。 同24日KAB22時20分頃。 原発問題を論説委員が語った折、流れの中でバカという言葉が2、3回出た所、直後に古館アナが 「不適切な言葉遣いがありました」 と謝った。 自己規制ではあろうが。 この中で論説委員は 「さんいちいち」 と2回云ったが、次の日、別のアナは 「さんてんいちいち」 と。 未だ統一がない。 6月27日2時12分頃、日テレ塚田文アナ 「にじゅうななにち」 と。 7月5日Nスタ、原発事故調報道で、「『生出演』 黒川委員長に聞く」 のタイトル。 煮たら死んでしまいますよ。 8月13日23時44分頃、フジ系秋元アナ。 尖閣ニュースで 「政府関係者以外なんにんも上陸させない…」 と。 カメラ横を流れる文字に 「何人」 とあったんだろう。 優理ちゃんこれは 「なにびと」 と読むんです。 まだあるが紙幅がない。



公金流用問題
坂田氏前組合長ら提訴
問題の責任転嫁図る
 本紙1月号3面で報道した元暴力団大門組系坂田組々長坂田拡穂氏が代表理事組合長を務める白川漁業協同組合の公金流用問題が新展開した。 本紙の報道が影響したかどうかは分からないが、報道直後の2月17日坂田組合長と同組合参事で事務担当の都崎芙美子氏が、坂口茂弘前組合長始め白川漁協第5支部長、同理事と組合員1名の計4名に対し損害賠償を求めて提訴したのである。 訴状によると 「被告坂口らによる組合財産流用事件とその解決」 として以下の事を述べている。

 平成20年11月10日原告坂田は被告坂口に対し100万円の借用を申込んだ。 坂口は自分に金はないと回答。 そのうえで坂口は、当時事務担当をしていた都崎に信用金庫から100万円を引き出すよう指示。 都崎は坂田と共に信用金庫に行き、白川漁港の預金から100万円を引き出し坂田に交付した。 「坂田は白川漁協の財産を原資とする100万円の貸付けを受けた事になったが (この表現はおかしい。 貸付けであれば借用書が必要だが坂田氏は書いていない) その金は平成20年12月8日全額返済した」 平成21年7月29日坂田は坂口に30万円の借金を申し込んだ。 坂口は 「自分は金を持っていない」 と云って、都崎に対し漁協の財産から30万円を引き出し坂田に渡すように指示、都崎は信用金庫から30万円を引き出し、その場で坂田に渡した。 同年8月15日頃、坂田は坂口に対し30万円の借用を申入れた。 坂口は都崎に白川漁協の郵貯から30万円引出すように指示、同17日に白川漁協事務所で坂口の面前で坂田に30万円を渡した。 坂田は計60万円の貸付けを受けた事になったが同年11月6日に全額を返済した。 「以上3回の組合財産流用事件を総じて 『本件流用事件』 という」 (訴状)。

「以上の件は平成22年7月の白川漁協理事で坂口が退任する事になった際 『原告らが組合の金を横領している』 と発言して発覚。 同漁協の監事らによる監査で流用の事実が確認された。 その結果同年10月12日の理事会で現職の理事、監事の年俸カットの処分が決定した。 坂田の年俸は50万円である。 これで坂田の本件流用事件の坂田への処分は終了した。 本件流用事件当時の白川漁協代表理事に対しては何の処分もなかった」 「被告らによる白川漁協に対する業務妨害」 として 「被告らは共謀して平成23年11月10日付で告発状を作成し、坂田と都崎に送付した。 さらに上記告発状を熊本県庁へ持参、県庁から書面の受け取りを拒否されるとこの書面を置いて帰った。 大津署にも相談に行ったが、告発状は受理されなかった。 書面に坂口を被告人としていない。 金は全額返済され、坂田らに減俸処分が下されて問題が解決している事を敢えて伏せられている。 坂田が代表理事に選任された議決がないとの虚偽記載がある。 平成23年6月の通常総会の席上、議長の議事進行を無視して本件流用事件の説明を求めるなど不規則発言を行った。 同7月14日の理事会でも同様の発言を行った。 同25日の理事会で南部、志水両理事は解決済の本件流用事件を持ち出し議事を停滞させた。 白川の清掃活動、アユやカニの放流等の本来白川漁協が行わなくてはならない事業について坂口が所属し、南部、志水が理事を務める第5支部は協力を拒否している」。 被告らは、熊本県民新聞を発行している訴外福島宏氏に対して、原告坂田や原告都崎の行動をつけまわすよう求め、情報をリークしている模様である。 中略。 「第3事情」 として 「坂口が恰も都崎と深い関係にあるとの誤解を招く発言を宴会などで行った。 坂口の妻が悋気を起こし、都崎に嫌がらせを行った。 後に坂口は都崎と坂田が深い関係にあるとの邪推したのか坂田を逆恨みするようになった」 (略) 以上紙幅の関係で概要を記したが、この訴状を見る限り坂田、都崎が200万円の損害を受けたとは思いつかない。 坂田氏は、この提訴に先立って知人のT氏から訴訟費用100万円を借用したとも云われる。 別の関係者は 「坂田は資金繰りが苦しく自転車操業状態だ。 借金してまで裁判を起こす価値があるのか」 と語る。

 筆者の乏しい法知識でも、この裁判で原告が勝訴するとは思えないが…。 原告には強い反証材料が存在していると見る。 の本紙非難には笑えた。 これを世間では 「被害妄想」と云う。本紙発行後坂田氏は周囲に 「県民新聞に尾け回わされている」 と語っているが、そんな暇はありまっせん。



白川・恐怖の"坂田一家"管理
入漁料払った鮎釣り追い出す
 白川漁業協同組合の一連のお家騒動について、ある組合員は 「元々の責任は坂口前組合長にある。 坂田を第3支部の理事に入れる時私達は大反対をしました。 坂田が元暴力団組長と知っていたからです。 しかし、第3支部の他の理事や、第2支部からも推す声が挙がり坂口組合長も断りきれなかったのでしょう。 坂口が他の理事を説得して理事を承認したのですが、やはり入れたのが間違いでした」 と語る。 因みにこの組合員は坂田体制になってから組合を抜けている。

 その坂口氏だが、以前筆者が取材した際、公金の不正流用について 「黙認した貴方にも責任があるのではないか」 と突っ込むと 「いや、私は金を持っていないと断り、坂田氏が組合の金でもよいから貸してくれと頼まれたが駄目と断った」 と話した。 今回取材の申し入れを行った所 「前の記事はわしが県民新聞に書かせたと坂田どんが云いよるけん、すまんばってん他から取材してくれ」 と断られた。 そこで他の関係者に取材すると共に新たな情報提供者も現れて取材を進める事が出来た。

 前回坂口氏に取材した時坂口氏は 「漁協も外から色々因縁をつけられ易い。 元気者が1人2人居ると助かる事もある」 と坂田氏を弁護したが、後で 「あぎゃん掌を返す男とは思わんだった」 と悔やんでも見せた。 元暴力団組長、組員であっても現在正しく生きていれば非難をする理由はない。 寧ろ支援すべきであろう。 しかし、坂田氏は暴力団から脱けたというだけで、現在も元暴力団組長を標榜し、元輩下であった者や同系列の者が漁協に出入りしている。

 元有力暴力団組長は 「坂田の所に出入りしている5~6人は坂田から舎弟の杯を貰っている。 漁協関係者の他、一般社会人や熊大生などに 『俺は大門の者だ』 と強弁したり、入れ墨を見せて威圧している」 「福岡からわざわざ鮎釣りに来て入漁料 (3千円) を払って、あるヤナ場の上流で鮎釣りを楽しんでいた所 『一見ヤクザ風の男が来てここで釣るな』 と云って漁場にならない所に移動を命じられたので早々に退散したと私の所に云って来た。 白川を坂田は私物化してしまっている」 と語る。 坂田氏自身、川の事は何も分かってなく、ある時 「子供達に投げ網を見せてくれ」 と熊大のボランティアの学生に頼まれたが、今の漁協に投げ網が出来る者は居ない。 頼まれた元暴力団組長がやってみせた事もあるという。

 この組長は暴力団から足を洗って以後 「人の為に少しでも尽くしたい」 として10年程前から白川漁協に出入りし、ヤナ場の設置などを手伝ったりしている。 坂田氏が全身に入れ墨しているのは関係者で知らない者はない。 まだ副組合長の頃、鮎の季節に坂口氏が営む 「白川庵」 に県の水産関係者や漁協の組合員が集まって鮎祭りを行っていた。 数十人が集る大宴であったが、県関係者が退席すると 「必ずといっていい程坂田氏が諸肌脱ぎになり入れ墨を自慢していた。 それを見て、以後来なくなった人もいます」 と語る。

 先の7・12水害で白川漁協は被害を受けたと大津町などに陳情、救済を申し入れているが坂田氏の最大の狙いは前にも書いた吉原橋だ。 坂田氏は知人に 「改修を請け負った会社が何処か某県議なら分かる筈だけん聞いてくれ」 と頼んでいる。 坂田氏は漁協が何かの心得もなく、勿論事務、各種補助金申請が出来る筈もなく、一切は都崎女史が采配しているが、都崎氏を漁協に入れたのは坂口氏である。




 熊本市に本社を置く中小の建設業者から熊本市が採用している入札制度に対する怨み節が聞こえて来た。 業者が指摘するのは 「履行確実性評価一般競争入札」 (通称総合評価方式入札) 制度である。 この入札制度は土木、建築の各業種をABCDランクに区分、過去3年間に熊本市建築工事の受注、成績を基に数値を算定し、点数化したものである。 従って過去3年間の平均工事完工高が高い程配点が高くなる。 これを土木一式工事で見るとランクAは特定業者として認可、総合数値810点以上が必要。 1級技術者は3名以上居る事が条件で、完工高1億5千万円以上、資本金4千万円以上の条件がつく。 ランクBは、総合数値730点以上、完工高5千万円以上が条件。 ランクCは同620点、完工高2千万円以上。 Dは特に条件は設けられていない。 ここで問題となるのが、市の発注額に対する入札資格である。 Aランクは5千万円以上の発注額に参加資格がある。 Bは2千万以上5千万未満。 Cは1千万以上2千万未満。 Dは1千万未満の事業にしか応札出来ない。 従ってBCクラスが完工高を上げようとしても、当初から上限が制限されているので年間完工高を上げるのは難しい。

 建築工事も似た様なものだが、ランクはABCと3段階で、Aの総合点は土木より低い790点以上、1級技術者は3名以上、完工高は2億4千万円以上と高額。 Bは620点以上、1級技術者1名以上、完工高8千万円以上となっている。 問題は発注額1億円以上の入札に参加出来るAクラスになると数が限られており、「落札の自由度が高い」 と業者が話す。 Bは1千万以上8千万未満と幅が広い為、Cクラスが何とかBに格上げして貰おうと、あの手この手を講じるのである。 市の工事発注は契約検査総室だが、仮にA社がある工事を落札したとする。 以後発注課の担当者が工事の進捗状況を管理監督する訳だが、この制度を問題視する業者は多い。 担当係長、担当官、検査員が夫々50点の持点があり、工事の仕上がり具合等で配点する仕組みである。 この3者が公平無私な人物なら何ら問題はないが、こいつらが自分の私情を加えて点数を配分するのである。 某業者は 「現場の監査員は勿論、担当者も業者に対する態度がデカい。 業者は少しでも点数を上げて貰いたい為平身低頭する。 工事で担当者が決まると数千円程の届け物をする業者も居る。 中には商品券を渡したら 『当然の様な顔で受け取った』 と語る業者もいる。 条件付指名入札だからこうなる。 全ての発注で一般競争入札にすべきと思う」 と語る。 又 「総合評価制度がある為、市の担当者が威張り、業者は卑屈にならざるを得ない。 この制度は廃止すべきと思うが多分なくならないでしょう。 無くせば自分達の権威が失われる訳ですからね」 と自嘲気味に語った。

 先頃、橋口県建設業協会の会長らが熊本市を訪れた。 橋口会長らは 「市にも県同様建設業者のランク付けをA1、A、B、Cに合わせてほしい」 と幸山市長に陳情を行った。 A1、Aクラスが優位に受注出来るようにとの虫のよい陳情であった。 しかし、幸山市長は 「現在の市の制度でも力 (評点の高い) のある会社が仕事を取っているので問題はないと思う」 との回答、橋口会長らも納得して帰っていったと聞く。 県のランク付けでBであっても市の条件でAにランク入り出来る業者もあり、中小建設業者の悩みは尽きない。



最低価格何故漏れる?
 中小建設業者によると1千万円以下の一般競争入札について 「コンピューターで歩引き数値が出て最低価格も決まる。 ルーレット方式と呼んでいるが、この制度では先ず不正は出来ない。 しかし、条件付一般競争入札では1千万円以上の発注が行われる。 億単位の発注は自ずと業者が限定されるので調整されている様だ」 「入札で同価格の場合、一方の会社の評価点を上げて有利にする事もあると聞いた」 と業者の一人は語る。 が、市の担当者は 「そんな事はあり得ない。 検査員への贈り物も聞いた事がない。 土木センターは蓮台寺、北部、東部の3カ所に在り、担当検査員も各所50人ずつ位居るので、中には業者からの贈り物を貰う者も居るかもしれないが、皆が皆そうじゃない」 と否定した。 しかし、入札で最低価格ぎりぎりで落とす特定の業者が居るのも事実である。



阿蘇市指名入札の出鱈目
途中で投げ出した業者に又発注
 平成22年9月2日、阿蘇市発注の 「阿蘇統合中学校 (仮称)」 その他の入札が行われた。 これらの入札については 「談合がある」 と事前情報が流れ、阿蘇市が入札会を延期して実施したが、結果は事前情報通りの業者が落札した。 校舎本体を落札したのは光進建設を頭に地場業者を入れたJVが約10億円で落とした。 問題はここからである。 光進の下に入ったのは地場の零細建設会社田上建設㈱ (代表者田上明) である。 10億円の内、田上建設が2億9千万程の工事を得た。 校舎建設が始まったが、その用地は元水田で 「佐藤の縁故者が所有していたのを買った。 他にいい場所があったのに」 とは、当時地元で流れた噂。 光進、田上とも現場事務所を構えたが、田上は光進に対し 「うちが受注した金額を区分してくれ」 と申し入れたのである。 要は校舎建設で区分して仕事をさせろと云うもので、そんな事が出来る筈はない。 光進の現場責任者が 「そんな事は出来ない」 と断ると事務所を現場から引き揚げたのである。

 その後光進建設のある事、ない事吹聴し回っていたが、間に入る者が居て両者を仲裁、田上建設の受注分を光進建設が引継ぐ事で話が結着した。 「この時の阿蘇市役所の教育課、建設課の狼狽振りは見事であった。 光進建設が引き受けず、2社が対立したままであったら工期内に工事は完成しなかっただろう」 と当時関係者は語っていた。 要は田上建設が受注した工事をしきらずに全てを丸投げした事になる。 責任放棄である。 にも拘わらず阿蘇市は田上建設に対して何ら処分を行わなかったばかりか、先頃 (6月13日) 市立碧水小学校大規模改修工事を発注しているのである。 同工事は建吉組、田上建設、下村 (電気)、菅 (設備) の4社JVが2億5400万余で落札。 田上建設は総合中を受注した前年の年商は5~6千万円と云われ、県ランクはDであった。 「何故田上建設がこんな美味しい工事がとれるのか不思議だ」 とは地元の同業者である。 一説では田上明氏が佐藤義典後援会の有力メンバーだからではないかとも囁かれている。 阿蘇市の入札審査会は何を基準に業者を選定しているのであろうか。 副市長以下佐藤市長の云いなりで、全て市長の独壇場。 市議会も田舎市議集団でチェック機能は全くない。



阿蘇中央病院建設
奇っ怪な業者選定
 阿蘇市は阿蘇中央病院の老朽化で、旧阿蘇中学校跡地に新病院建設を企画、この為に任用した赤塚某氏を準備室長に据えた。 先頃病院本体工事建設で共同企業体 (JV) の指名が行われた。 第1グループに指名されたのは吉永産業、岩永組、建吉組、小竹組、三津野建設、光進建設の6社。 地場A1クラスである。 これを頭にして第2グループは所謂スパーゼネコンの戸田、大林、竹中、清水、鹿島、大成の6社が指名されている。 第2グループは即全社が不参加を表明したのは云うまでもない。

 第3グループとして地元の田上、成瀬、熊本紅屋、藤田、松田、山内の6建設業者が指名されている。 総額40億、本体工事約20億と云われているこの工事、消去法でいくと三津野、光進のどちらかが受注する可能性が大である。 面白いのが 「こんなJVの組み方は佐藤と雖も考えつく筈はない。 佐藤が野田代議士の秘書の時培った東京在の人脈の1人から知恵をつけられたのではないか」 との説がある事だ。 佐藤市長の腹は読めないが思い通りに事は運ぶだろう。
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