熊本県民新聞 WEB版
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民主党・絶対安定多数無理?


麻生首相が云う所のみぞうゆう(未曾有)の大敗北目前の第45回衆院選告示が迫っている。自民逆風の中、比較的安定していると見られた熊本選挙区だが、無党派層の動き次第で、2、3区の自民候補危しの声が上っている。当らぬも八卦の小紙独善予測をどうぞご賞味下さい。

【熊本1区】
木原×松野
Wスコアで圧勝かと、絶対優位が伝えられる松野頼久だが、熊本1区で初出馬した平成10年6月の補選では敗北している。この時の補選は、突然政権を投げ出した細川護煕の議員辞職に伴うもので、自民公認の岩下栄一に1万票の差をつけられた。この敗北が松野にとっては良薬になったのは言を俟たない。以後松野陣営は組織作りに集中し、平成11年の衆院選で岩下に圧勝した。平成14年も楽勝し「1区は松野が磐石」と見られていたが、前回の「郵政選挙」では新人木原稔に2400票差まで肉迫された。木原は、自民党県連が候補者を初公募した時に応募、最終選考で1位を得て、1区自民党公認候補として1年先の解散を見込んで準備に入った。所が突然の郵政解散により、認定3ヵ月で選挙戦に突入、名刺とポスターの作成が間に合っただけで選挙戦に突入した。それでも小泉旋風に乗り11万票を獲得、比例で復活した。が、その後の動きが鈍かった。各種集会にはこまめに顔を出すが、後援会組織作りには熱心ではなかった。自民党の県議、市議も一部の動きは鈍い。8万もとれれば健闘と見るしかないだろう。

【2区】
県全域で前回は無党派層の42%が自民党に投票したが、次回はその半分以下と見るのが妥当だろう。前回は野田の11万2千余に対し松野信夫は8万弱の得票。林田はコスタリカで九州比例で当選した。そのコスタリカ方式が今回で終る。と、なれば次々回は野田、林田は敵対する立場となる。マスコミ報道を見る限り2人3脚で、福嶋との戦いに臨んでいる様だが「内実は違う」とは選挙通の話。特に野田後援会の長老達の林田嫌いは有名である。「次々回を見越して選挙活動が行われている」と玉名地区幹部の話である。熊本市部と荒尾地区は福嶋が有利、となれば林田の勝機は玉名郡市に掛かる。玉名市長島津は前回林田の支援を受け、旧玉名市長の高嵜を僅差で下した。高嵜は民主寄りで、次回も島津に挑むので林田の得票が伸びるかどうか。福嶋は、木原と同時に自民党県連の公募に応じたが、この時は最終選考で5位に終り、その後、民主党に転じた経緯がある。組織力、知名度で林田には敵わないが、松野(信)の地盤をそっくり受け継いだ上、民主への追い風に乗って善戦している。林田が勝利するにはあと一押しの力がほしい所だ。

【3区】
坂本×松岡因縁の3区だったが、松岡の急逝で一時は楽勝と見られていた。所が参院選で落選した三浦一水が突然出馬を表明して情勢は一変した。農水副大臣を務めた三浦は、松岡同様、農家に焦点を合わせて、農民の代弁者としての存在を訴えている。坂本は、前回衆院選で松岡に1万2千余の差をつけられて敗北、野に下ったが、松岡の急逝による補選で復活、後で自民党で入党した。次回は自民党公認での出馬だが、反自民の逆風の中「無所属の方がよかったのではないか」の声も聴かれる。三浦は参院選まで自民党公認で出馬したが、次回は無所属での出馬を表明した。しかし、告示日までには平沼新党が発足するのを見越しており、選挙戦は新党名の公認で戦う予定と云われる。民主党の後藤英友は平成19年7月、参院選と同日に行われた補選で5区から3区に鞍替えして出馬。前回出馬の中川より得票を8千票上積みした。この男、小誌で何度も忠告報道した「お見合いパーティー」の常連で、年齢も数歳サバを読んで出席していた。パーティー場での言動は「意味不明、出席の目的も分らない」とは出席した女性の弁。で、選挙情勢だが、坂本優位は動かないものと見られる。3区は独特の気風があり、坂本教とも云うべく、熱心な信者、じゃなかった支持者が居るのである。これまでは自民一本槍で推薦していたJAは、阿蘇が坂本、鹿本、菊池は三浦に割れたが、公明支持も取付けた坂本優位は動かないだろう。後藤はルックスの良さで票を伸ばす程度か。

【4区】
自民園田博之は、亡父直の跡を継いで7期連続の当選を果した強豪。対する松永真一は自民党県議から園田に反旗を翻した勇気?ある男である。民主党は前回松本基督を擁立したが、園田の13万6千に対し、6万3千余と半数を割った。次回民主党は公認候補を見送り、国民新党から出る松永真一を推薦した。松永自身保守系の国民新党の為、園田を支持して来た保守票を取込む可能性がある。保守票と云うより反園田票と云った方が適切かも知れないが、長く続く園田王国での驕りに反発する若年層が育って来ているのも見逃せない。反自民の風を捕える事が出来るか否かが大きな課題であろう。宇土、宇城の両市では前回の参院選で民主松野が自民三浦の得票を上回った。社保問題で自民に逆風が吹いた時である。次回は、その時に勝る自民無能政権見限り旋風が吹くだろう。それでも「揺るがない」のが園田の世襲の強味か。自民党政調会長代理として、又水俣病未認定患者を救済する「水俣病救済法」の成立に尽力した実績を評価する声も多く、先ずは安泰と見ていいだろう。

【5区】
5区の大票田八代市の市長は自民党坂田孝志。社民党の中島隆利を破って初当選し、再選を目指す。対立候補の福島和敏は民主党県議からの転身を図る。この延長線上にあるのが衆院選の立候補予定者である。自民公認の金子恭之は坂田と一心同体の選挙戦を進めているが、社民党公認民主、国民新党推薦の中島隆利も福島とスクラムを組んで金子に挑む。中島は前八代市長としての知名度で八代市では大量得票を目指すが、これは勘違いもいい所だ。中島が八代市長の座を射止めたのは保守乱立による漁夫の利に他ならないからである。支持母体の労組も経済の衰退で減少傾向にある上、社民党と民主党の政策が噛み合っていないとなれば、民主への追風を受ける事が出来るのか。前回金子が10万5千余を得票したのに対し、パーティー男後藤英友は善戦したと云われても6万6千弱。次回は民主の風をプラスしても8万票に届くかどうか。下手をすると後藤並に終るとの見方もある。衆院選1週間前に行われる八代市長選は坂田優位で展開しており、相乗効果で金子は先ず安泰との見方が大方である。
(文中敬称略)